母からの就職祝い
この日は就職祝いにと、母が高級寿司店に連れてきてくれました。「就職内定、おめでとう! わが娘ながらすごいわ~」と喜ぶ母。わが家は早くに父を亡くし、大変な時代がありました。社長だった父の病死後、専業主婦だった母は働きに出て女手ひとつで育ててくれたのです。そんな母を私は大尊敬しています。
2人で思い出話に花を咲かせていると、「大失恋事件も今では懐かしいわね」と言う母。私には高校時代に付き合っていた彼氏がいました。高校生ながらゆくゆくは結婚しようとまで話していましたが、父の死後、会社が経営難に陥り進学を断念するかもしれないと話すと、彼の態度が一変。
彼は「俺、将来お前の父親を継いで社長になりたかった。でも状況が変わったなら、お前と付き合う意味なんてない」と私を振ったのです。最後に「俺は有名大を卒業して一流企業で働く! 高卒になるお前とは無関係だから」と、捨て台詞まで吐いて……。
当時は、父の死のショックと彼からの言葉に傷つきひどく落ち込みましたが、今はもう昔の話。私は母に「そんな昔のこともう忘れたわ! お母さん、いつも支えてくれてありがとう♪」と母に感謝を伝えました。
会いたくない人との再会
母といろいろな話で盛り上がっているとき、私はふとカウンター席に目を向けました。するとそこにはまさかの人物が。相手も私の目線を感じたのか、こちらに振り向きます。なんと先ほど、母と話していた高校時代の元カレが座っていたのです。
隣に派手な女性を同伴させた元カレは、ニヤニヤしながらこちらを眺めています。私が固まっていると、異変に気づいた母がカウンターに目をやりました。母は「あれ、あの男は……」とすぐに元カレのことを思い出した様子です。
せっかく母に就職祝いをしてもらっている日に、嫌な思い出の相手と再会なんて。戸惑っている私に元カレはとんでもないことを言いはじめます。
耳を疑う暴言にあ然
「お前さ、店間違えてねーか? 貧乏人は場違いだ、帰れ帰れ」と言う元カレ。
さらに、隣に座っている女性まで口を出してきました。「あなたの話は彼から聞いていたわ。お父さんの会社が倒産して貧乏になったって? かわいそうにねぇ。それに比べて彼は一流企業の内定獲得。今日はそのお祝いなの♪」
「そうそう。俺は有名企業A社のエリートになる、高級寿司店にふさわしい男。貧乏高卒のお前とは違ってね」と、内定先の会社名までペラペラしゃべるこの元カレの暴言に、私と母はドン引きです。
母の逆襲開始!
そのとき、黙って聞いていた母が口を開きました。「そう、あなたA社から内定をもらったって? でも本当に入社できるのかしらねぇ……」
「はぁ? 無関係のおばさんが何を……」とキレる元カレに、母は容赦なくたたみかけます。「そもそも、内定先の社長の顔も知らないなんてあきれたわ」と。
目が点になっている元カレが哀れすぎて、私は詳しく説明してあげました。「父の会社は、一時期確かに経営難になったけれど、その後母が再建して今じゃあなたもご存じの大企業よ。社名がA社に変わったから気づかなかったかしら?」
母は元カレをじっと見て「差別意識が強く平気で暴言を吐く態度、希望先の会社への無知さ、正式採用の前に内定先を言いふらす軽率さ……。あなたはわが社にはふさわしくないわね。ちなみにあなたは内定したと言っているけど、まだ正式な通知はしていないはずよ」と言いました。
見下し発言満載の元カレの末路は?
そう。元カレは「A社に入社する」と大声で宣言していましたが、実はまだ正式な通知はきていませんでした。元々自信過剰な性格な元カレは、「当然、自分は受かった」と思い込んでいて、内定したと言っていたのです。
ちなみに私は、元カレから「高卒」と言われていますが、特待生として希望していた大学に入学。その後、首席で卒業しています。無事内定した、とある一流企業で経験を積んだあと、ゆくゆくは母の会社を継ぐ予定です。
そのことも母が伝えると、元カレは「な、何だって!? じゃ、あのまま付き合っていれば……」ともらします。しかし、人を見下すような相手は私のほうが御免です。母が最後に「逃がした魚は大きかった~?」と言い放つ姿を見て、私も完全に過去の痛みから解放されました。
「話が違うじゃない!」との隣にいた女性に責められながら、そそくさと会計を済ませて退散していった元カレ。その後どうなったのかはもうわかりませんが、私は母とおいしいお寿司を堪能できました。いずれは母に恩返しできるよう、春から社会人として精いっぱい頑張るつもりです!
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