夫の誕生日などの外食をする日は決まって私はお留守番で、沖縄への家族旅行の予定も留守番になりました。
義母は私の顔を見ているとイライラするらしく、旅行に同行するなど言語道断とまで言っていたそう。夫は義母の意見に同調しており、私の肩を持つことはありませんでした。そのときの私は、早く夫や義理の両親に認めてもらえるよう、もっと頑張ろうと思っていました。
プライドの高い夫
沖縄旅行は義母が引いたくじ引きの景品で、ペアチケットらしく、夫は自費での参加とのことでした。さらに、両親の滞在費は夫がすべて負担する約束をしていると、とても誇らしげな顔をして話してきました。そんなに余裕のある暮らしではありませんが、長男として両親に頼りにされるのがうれしいかったのでしょう。
実は夫には妹がおり、財力のあるご主人のもとに嫁いでいました。両親をラクさせるには妹を頼るのが1番ですが、それでは面子が丸つぶれで、長男としてのプライドが許さないようでした。
正義感の強い義妹
ある日、旅行のことを聞きつけた義妹が、私に連絡してきました。
「お義姉さん、沖縄旅行でお土産頼んでいい?」
「私は留守番なの」
「え? 家族旅行なのに……?」
本当のことを言うと義妹が心配しそうなので、何とか内情を話さず夫へお願いしてもらえるよう伝えました。しかしどうも気になったようで、義妹は私に何かあったのかとしつこく聞いてきたのです。そこでもう隠せないと思った私は、正直に話すことにしました。
これがいつものことで、夫は私みたいなダメ嫁にお金を使うのはもったいないと思っていること、義理の両親から一緒に行きたくないと断られたことを話しました。すべては私が未熟なせいであり、そのせいで嫁として認めてもらえないのだと言うこともきちんと付け加えて。
最初は黙って話を聞いていた義妹でしたが、そのうち猛烈に怒り始めたのです。義妹は朝から晩まで働く私を十分立派にやっていると認めてくれ、自分の両親や兄の態度にものすごく腹が立つと言いました。こんな時代遅れで、最低なやり方は間違っているとも。そして、自分の気持ちに正直になるよう、やさしく私をいさめてくれたのです。
義妹は、嫁を見下し家政婦扱いするような人たちには仕返しが必要だとし、私に協力したいと申し出てくれました。
必要のない我慢は、もういらない!
そして、沖縄旅行当日。夫は楽しそうに現地から連絡してきました。自慢するつもりだったのでしょうが、私たちも女子旅中でした。 場所はなんと、セブ島!
義妹は、1度高級リゾートに来てみたかったのだそうです。せっかくお誘い頂いたので、連れてきていただきました。
それを聞いた夫は、もうカンカン。ダメ嫁のくせに海外旅行なんて贅沢、ずうずうしいとほえました。義妹は、一生懸命家事をし夫をサポートする、こんなに家族に尽くす嫁はいないと絶賛。ずうずうしいのはどっちだと、夫をしかってくれました。
私は義妹と話して目が覚めたこと、もう自分にウソはつかないと夫に宣言。この先どんなに頑張っても、嫁という存在を見下している夫と義理の両親には認めてもらえないと告げました。結論、私は即刻離婚したいと思っており、もう荷物もまとめてきたことを伝えたのです。
その後、家事をする人間を失った義実家は荒れ放題に。義妹から絶縁されたことで、両親と元夫との仲も悪くなったそうです。また両親は義妹のお金をあてにしていて、自分より妹を頼りにしていたと知った元夫はプライドが傷つき、その後の両親の面倒は一切見なかったと聞きます。
私は新たな人生をスタートさせ、たまに義妹と会っておしゃべりするなど、ひとりの生活を楽しんでします。
どうあがいても実りのない我慢は自分を疲弊させるだけ。義妹さんがいてくれたおかげで、自分の置かれている状況がおかしいと気づくことができてよかったですね。自分のいる環境に慣れてしまうと、なかなか気づくのは難しいもの。悩んだ際はひとりで抱え込まず、他人に話を聞いてもらうだけでも、新しい道が開けるかもしれませんね。