たまには私も一緒に旅行したいのですが、夫を溺愛する義母は彼を独占したい模様。
今回訪れるのは、山奥の秘境のような場所にある温泉だそうです。露天風呂からの景色が最高なのだとか。うらやましがる私に、夫は別日での旅行を提案してくれました。今から楽しみにしています。
夫と温泉にいる義母が…
旅行の前日、夫は旅行が楽しみなのか寝付けないようでした。寝坊しないか心配になりましたが、予定時刻に出発。
義母はご機嫌で、車窓の景色を楽しみながら駅弁を食べているそうです。最近義母と会えていないので、うれしそうな様子を送ってほしいと写真をリクエストしました。すると、写真は恥ずかしいからとNGが出たようです。でも義母ってそういう性格だったかしら。
そして、翌日。
「なんだよ鬼電してきて」
「せっかくの母さんとの時間邪魔しないでよ」
電話に出ない夫に私が何度も電話をすると、嫌そうな返事が返ってきました。緊急事態で、私が必死に連絡したというのに……。
「お義母さん危篤だけど」
「え……」
先ほど夫の実家から連絡があり、義母が自宅から緊急搬送されたというのです。私はてっきり夫と一緒に温泉にいると思っていたので、何の話かわかりませんでした……。
真実は?夫は問い詰めると…
私が問い詰めると、友だちと出かけていると言った夫。遊びにいくと言ったら怒られると思い、うそをついたそうです。話を聞いていても釈然としないので、危篤の義母に誓って言えるのかと問うと、不倫していることを白状しました。
夫は山奥から義母の病院まで駆けつけようとしましたが、今日はもう交通手段がなく、翌日の到着になってしまうとのこと。私が病院に着くと、なぜ夫が来ないのか義理の家族に問われ、困ってしまいました。こんな状況でうそをつきたくありません。本当のことを伝えると、義父も義兄たちもカンカンでした。
そこで知ったことですが、夫は今まで一度も両親と旅行したたことがないそうです。つまり、義母と旅行へ行くと言っていたのは、すべて不倫旅行。義母は一緒に旅行したいと言っていたらしいので、その願いを無視して自分だけが楽しんでいたようです。
自分が行くまで頑張ってくれと義母に伝えてほしいと言われましたが、意識がない状態です。医師は長くはないだろうと言っていましたから、夫の到着を待てるかどうか……。
夫が病院へ駆けつけるも…
結局、夫は義母の臨終に間に合いませんでした。亡くなるすこし前、奇跡的に一度だけ意識を取り戻した義母。おかげで集まっていた私たちは、お別れができました。それを聞いた夫は、旅行に行ったことを相当悔やんでいました。
ひつぎに納められた義母を見て夫は泣いて謝っていましたが、周囲の目は恐ろしいほど冷たく、誰も話しかける人はいませんでした。
私たちは、義母の四十九日を待って離婚届を提出。夫には泣いてすがられましたが、これだけ傷つけられたらもう一緒に暮らすことはできません。今は実家で家業を手伝っており、両親を大切に過ごしたいと思います。
◇ ◇ ◇
嘘はいつかバレますよね。そして人を傷つける嘘は回りまわって自分に返ってくることも。後悔しないためにも自分に誠実に生きたいですね。