きっかけは耳掃除
長女が1歳ごろのことです。夜、夫とお風呂に入っていた長女がお風呂から上がってきたので、私が体を拭いてあげていると、夫から「お風呂で耳に水が入ってしまったかもしれないから、耳を綿棒で掃除して」と言われました。
いつもなら私が綿棒で長女の耳掃除をしているのですが、夕食の準備で手が離せないので夫に「ごめん。今、夕食の準備の途中で手が離せないから、パパが綿棒してあげて」と頼みました。すると夫からまさかのひと言が……。
気持ちはわかるけど…
「無理だよ。だって俺、やったことないもん」。
その言葉を聞いたとき、心の底から「はぁ?」と思いました。夫に「私も最初はやったことなかったし、怖かったけど、やるしかないでしょ」と返すと、夫は「だって、どこまでやったらいいのかわからないし……苦手」とのこと。
そのとき私は夫の言葉にイライラして、「もう私がやるからいいよ!」と話を終わらせました。
私も苦手を押し付けていた!
その日の就寝前に、夫に「パパは子どもの爪切りとか苦手なことをしないけど、私がいないときはどうするの?」と尋ねました。
すると、「そのときはやるしかないからやる。ママも苦手なことは、俺がいたら俺にやってほしくない?」と聞かれ、改めて考えてみると確かにその通りだなと思いました。
例えば、私は家具や子どものおもちゃを組み立てるのが苦手で、最初から自分でしようとせずに、いつも夫にお願いしていたのです。
そのとき、苦手なことをしないのはお互いさまだったのだと気づきました。とはいえ、子どもの世話をできないままだと、いざというときに子どもも困るので、夫に手順やコツを共有するようにしました。
最初は夫に対し、「子どもの世話が苦手? そんなことを言うなんてありえない!」と思っていた私ですが、育児にも得意なことや苦手なことはあると思い直しました。そんなときは、苦手なことを相手に押し付けられたと感じることがないよう、夫婦で協力しつつも、基本的には得意な人・できる人が担当すればいいのだと感じました。
※赤ちゃんの耳掃除は、基本的には必要ないと言われています。耳の穴が耳垢でふさがって耳の聞こえが悪くなっているような場合は、耳鼻科で耳垢をとってもらうようにしましょう。家でおこなう耳のケアは、耳介(穴ではなく外側)の溝や裏側が汗などで汚れている場合があるので、ガーゼや綿棒などでやさしく取り除く程度にしましょう。
作画/キヨ
著者:やまぐち さき
4歳の女の子、2歳男女の双子、夫との5人暮らし。子宮内膜症からの手術、不妊治療を乗り越えて育児中。闘病や不妊治療、双子の出産・育児の経験をもとにライターとして活動中。