いとこと婚活パーティーへ
ある日、神妙な面持ちの叔母がわが家にやってきました。そして、私は「……実は、うち子を今度婚活パーティーに参加させるの。だけどあの子のことだから、参加者に暴言でも吐いてその場を台無しにしかねないと心配で……。申し訳ないけど、いとこのよしみで一緒に行ってくれない……?」と言われたのです。
つねに傲慢で高飛車な彼女のことを、母親として心配しているのでしょう。いつも穏やかな叔母さんが何度も私に頭を下げてきて……。叔母には日ごろからお世話になっていた私は、気が乗らないながらも一緒に婚活パーティーに参加することにしたのです。
そして、婚活パーティー当日。会場に着くと……。
会場にいたのは?
なんと、私の高校の同級生である男性が会場にいたのです! 学生時代、一緒に学級委員をしていたこともあり、懐かしくて声をかけようかと思ったのですが……婚活パーティ―ということもあって、向こうも気まずいだろうと、私は気づかなかったふりをして料理をいただきながらいとこの様子を見ることに。
彼女はというと……いつもと変わらず横柄な態度。「親に言われて仕方なく来たけど、私は社長令嬢よ。貧乏人が気安く話しかけるな!」と周囲の男性たちに文句を言います。そして男性たちがどんどんと彼女から遠ざかるころ、どうにかしようと私が声をかけようとすると……「あら~おいしそうじゃん!」と、彼女が私が手に持っていたお皿を奪取! ものすごい勢いだったため私は体制を崩し、その場にしりもちをついてしまいました。
するとそのとき、私の前にサッと手が。「大丈夫?」と言われ顔を上げると……そこには同級生である彼の姿がありました。「あ、ありがとう……。久しぶりだよね。高校のときの……」とお礼を言うと、「うん、やっぱりあの、学級委員の……?」「そう!」。
彼の手を借り立ち上がり、私たちはお互いの近況を話し始めました。すると、「自分を差し置いて」と思ったのでしょう。いとこが彼を上から下まで見てこう言ったのです。
「うっわぁ、レベル低! こんな女にやさしくしちゃって!」と……。
驚きの展開
いとこの言葉に、怪訝な表情を浮かべた彼。「勢いよくお皿を取ったのはあなたですよね。遠目から見ていました。謝罪もないようですが?」といとこに詰め寄りました。
すると、彼女は「はぁ? 私は社長令嬢。こっちはただのいとこ! 謝罪なんて不要よ。あんたもどこの誰か知らないけれど、私にたてつくなら社会的に潰してやる!」と喚き始めて……。婚活パーティーの会場でどうしよう……と私が焦っていると、彼は冷静にこう言ったのです。「では、御社との取引はすべて白紙に。社長によろしくお伝えください」と。
え? 取引?と、私もいとこもビックリ。
すると、彼が「私は、A社の代表を務めています」と口にしたのです。
その言葉にいとこは慌てふためきました。そう、A社とは彼女の父が経営している会社の主要取引先なのです。「人をバカにし、横柄な態度で周囲を不快にさせるなんて、真剣に婚活している方々に失礼では? レベルが低いとまで言われて、僕としては、もう御社と取引したいとは思いません」。
社長令嬢が号泣
いとこは号泣しながら、私が声をかけるより先に慌てて出口へ。そのまま逃げるようにして帰ってしまいました。そして、気まずさから私と彼は会場を後にすることに……。
いとこのことも気がかりでしたが、私たちは場所を変えお茶をすることにしました。そこで改めて、彼女の非礼を謝罪。叔父と叔母はとてもいい人なので、この一件で取引を切られてしまうのは私としても心苦しく……。その思いを伝えると、彼は「この件だけでビジネスを勝手にキャンセルなんてしないよ。彼女のお父さんにはとても良くしていただいているから」と言ってくれました。そして、彼は叔父から家族の写真を見せてもらったことがあり、そこで「取引先の社長の娘だとわかった」とも教えてくれました。
思わぬ結末が?
その後……。叔父と叔母には改めて私からも事情を説明。すると、2人は大激怒で……彼女は親戚がやっているという旅館で住み込みで働くこととなり、イチから社会を学ぶことになったそうです。そして、同級生である彼は叔父の会社との取引を継続してくれているようです。
その数年後……私も驚く出来事が。なんと、私は彼と結婚することになったのです。久しぶりに会ったことで距離が縮まり、そのまま交際、結婚に至りました。いとこの付き添いの意味合いも強い中で参加した婚活パーティーで、高校のころの同級生と再会し、そのまま結婚するなんて……。人生とは何が起こるかわからないものです。私はいとこを反面教師にして、大好きな彼をサポートしながら真摯に生きていきたいです。
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