ベンチに座っていた高齢の女性
ある休みの日、当時生後10カ月の長男を連れて電車に乗って買い物や長男の遊び場へ行くことに。用事をすべて済ませて駅に向かっている間に、遊び場でたくさん遊んで疲れたのか、長男はベビーカーで寝てしまいました。
ちょうどベンチがいくつかあるところだったので、「私も少し休憩して、今のうちに帰りの電車の時間を調べちゃおう」と思い、端に高齢の女性が座っているベンチに私も座りました。
「今のお母さんって…」
私がスマホを取り出して、時刻表を調べていると、その女性が「かわいいね、何カ月?」と声をかけてくれました。
私が「ありがとうございます。生後10カ月なんです」と答えると、「あら、やっぱり0歳なのね。こんなに小さくてかわいい時期なんて今しかないんだから、スマホばっかりいじってないで、子どものことを見てあげたら? 今のお母さんって、スマホ好きよね」と言ったのです。
私は内心、「え……今、息子は寝ているし、電車の時間を調べてただけなんだけど」と思いましたが、そう伝えたとして、さらに言い返されるのも面倒に感じてしまい、「そうですね」とだけ答えました。
その女性も、子どもとの貴重な時間を大切にしてほしいという思いから悪気なく言ったのだと思いますが、「スマホばっかり」と言われてモヤモヤしました。知らない人に、あの一場面を見ただけでいきなり否定的なことを言われてショックでしたが、帰ってから夫に愚痴を聞いてもらいスッキリしました。
イラスト/ミロチ
著者:吉川 みきな
15歳女の子と5歳と1歳の男の子の年の差兄弟を育てている母。反抗期の娘とイヤイヤ期の息子の育児に日々奮闘中。上の子を出産後に大学に通い、看護師の資格を取得。現在は看護師としてパート勤務をしている。