10月になり、ご自身や配偶者の年末調整の手続きが必要になる方も多いと思います。ふだんの手続きは分かっていても、出産したことによって記入する内容が変わる部分もありますので、ポイントをお伝えします。
1.出産前後で休職・退職した場合は税金上の扶養になる可能性が
所得税・住民税の扶養(控除対象配偶者)になるには、その年の1月1日~12月31日の所得が38万円以内(会社員・パートの場合は年収103万円以内)である必要があります。
また、所得38万円超76万円未満(会社員・パートの場合は年収103万円超141万円未満)の場合は配偶者特別控除の適用が受けられます。
昨年までは1年間の収入が141万円を超えていても、出産等で今年の収入が141万円以下になった場合には、夫の年末調整で控除対象配偶者、または配偶者特別控除の欄を記入するようにしましょう。また、今年適用になっても、来年仕事に復帰して年収141万円を超える場合は、来年は夫の年末調整で控除対象配偶者、または配偶者特別控除の欄を記入しないことを合わせて覚えておいてください。
なお、健康保険から支給される出産育児一時金や出産手当金は、上記の年収や所得には含まれませんので、勤務先から支給される給料や賞与等が1月1日~12月31日の間で141万円以下かどうかで判断してください。具体的な内容を確認したい場合は、最寄りの税務署または市区町村の住民税担当部署にお問い合わせください。
2.生命保険料の追加や医療費控除は確定申告して
お子さんの学資保険や万一の際の生命保険など、出産後に保険に加入する人も多いと思いますが、9月以降の加入で年末調整に生命保険料の控除証明書の提出が間に合わないときや、出産関連費用を含め多額の医療費がかかった場合には、年末調整でなく確定申告をすることによって所得税の還付が受けられます。
年末調整と手続きの時期が異なり、年明けの1月4日以降になります。源泉徴収票と追加する生命保険の控除証明書や医療費の領収証と合わせて、税務署で手続きをすることになります。なお、インターネットでも書類が作成できるので、書類を作成して添付書類と合わせて郵送での手続きも可能です。
なお、生命保険料の追加ですが、死亡保険等の“一般”、“個人年金”“介護医療”それぞれの種類ごとに上限があり、年8万円を超えていると追加はできません。たとえば、すでに月1万円(年12万円)の死亡保険に加入している人が、新たに学資保険や死亡保険に加入しても、すでに加入している保険が年8万円を超えて控除の上限に達しているため、追加しても税額に変更はありません。
そのため、この場合の確定申告は不要です。こちらも確定申告をしたほうがいいか確認したい場合は、最寄りの税務署にお問い合わせください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。