赤ちゃんが食物アレルギーと診断されたときは、原因になっている食物を除去する必要があります。食物は、完璧に除去する必要があるのか。また、赤ちゃんに母乳をあげている場合は、ママも原因の食物を除去する必要があるのか。今回は、食物除去と食べられる範囲とあわせてお伝えします。
必要最小限の除去を心がけて!
医師から食物アレルギーと診断されたときは、指示された原因の食物だけを除去します。アレルゲンの食物を除去することは、「アレルゲンの食物をまったく食べない」わけではありません。原因になっている食物でも、アレルギーの症状が出ない「食べられる範囲」までは食べることができます。
ただし、「食べられる範囲」は、たんぱく質の量によっても変わります。まずは検査をして、医師といっしょに赤ちゃんの症状をみながら、食べられる量や食物を相談しましょう。
母乳をあげているときは医師に相談を
食物アレルギーの症状には、個人差があります。もし赤ちゃん時期に食物アレルギーがあると診断された場合、母乳をあげているママもいっしょに原因の食物を除去するかどうか、医師と相談しながら決めることが大切です。
もし赤ちゃんが母乳を飲んでいても、皮膚にかゆみや湿疹のような食物アレルギーのような症状が出なければ、ママが原因になっている食品を除去する必要はありません。
ママ自身がアレルギーでもこわがらない!
もし、ママ自身が食物アレルギーのある場合でも、親と同じ食品で赤ちゃんが食物アレルギーになるとは限りません。ママがアレルゲンになっている食品を赤ちゃんに食べさせるときでも、必要以上にこわがらず、まずは赤ちゃんの体調がいいときに、少量から試してみましょう。
また、赤ちゃんが牛乳や卵などを問題なく食べている場合、成長してから突然その食品が原因で食物アレルギーになることは、まずありません。むしろ、えび、かに、そばなど、1歳以降になって食べはじめたもので、食物アレルギーになる場合もあります。初めて食べさせるときには、皮膚や便などの様子を見ながら慎重に進めましょう。
食物アレルギーの子どもが食べる料理を家で作るときは、調理器具を使うたびにしっかり洗えば大丈夫です。家族みんなで、同じようにアレルギーに対応した料理を食べるなど、食事そのものが楽しいと感じられるような工夫をしてみませんか。
※参考文献、資料
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」(協和企画)
「食物アレルギーの栄養指導」(医歯薬出版株式会社)
「図解食物アレルギーの悩みを解消する!最新治療と正しい知識」(日東書院)
「食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食」(主婦の友社)
著者:管理栄養士 富田チヤコ
管理栄養士で一男一女の母。大学卒業後、専業主婦時代に離乳食作りから食の重要性に気付き、管理栄養士・フードコーディネーター・消費生活コンサルタントの資格を取得。書籍や女性誌の栄養監修など、主に健康と食のジャンルを中心にフードライターとして活動中。