楽しさいっぱいの初旅行
長男を連れた初の子連れ飛行機旅行に向けて、離乳食やおむつ、ベビーカー、抱っこひもなど大荷物を抱えつつも、持ち物はこれで大丈夫かな、長男は楽しめるかなと準備段階から心配は尽きませんでした。
が、実際に出発してみると、初めて見る光景に目を奪われて終始ご機嫌だった長男。私たちもイタリアの素敵な町並みやおいしい料理に浮かれて、すっかり無防備に旅行を楽しんでしまいました。
最終日に悪夢のような出来事が…
最終日、私たちは朝からホテル周辺の散策へ。朝10時前にチェックアウトのためホテルへ戻っている途中、イタリア人らしき花売り姿の女性2人組が「かわいい赤ちゃんだね。ぜひお花を買って!」と、かごから花を取り出しながら私に近づいてきました。
断ってもしつこく付いて来るので、何か変だと警戒した私は、抱っこひもに入れていた長男を夫に託しました。夫を先頭に無理やり女性2人の横を通り抜けようとしたとき、一方の女性が私の肩がけのポシェットをつかんできたのです。
彼女たちがスリだと気づいた私はとっさに「やめて!」と叫び、振り返った夫が一緒にポシェットを押さえたところ、女性2人は諦めたようで足早に去っていきました。急いでホテルに戻ると、私は張り詰めていた緊張の糸が切れると同時に、改めて恐怖を感じて泣いてしまいました。
私たちの初めての子連れ旅行は、最後にバッグを奪われかけるという恐怖の事件で幕を閉じました。長男に危害が及ばなかったことは幸いでしたが、後日、「赤ちゃん連れは隙が多く、スリに狙われやすいから気をつけて」とイギリス人の友人に教えてもらい、まさにと納得。それ以降、私たち夫婦は、旅行中は何よりも安全優先で行動し、どんなに楽しくても周囲への警戒を怠らないようになったのでした。
イラスト/ミロチ
著者:濱田よし
2014年イギリス生まれの長男、2018年日本生まれの長女と2021年アメリカ生まれの次女、夫の5人家族。夫の海外転勤による約10年の海外生活を経て日本に帰国。