「あんな風に育児に積極的なパパってなかなかいないわよねー」「うちのパパなんて全部私に丸投げなのよ?」「スーツ姿がビシッと決まっているし、スーツの上からでもわかるぐらいの素敵な体……♡私のタイプすぎて最高よ~!」と、興奮冷めやらぬママ友。
ママ友がいったい誰の話をしているのか、私には理解できませんでした……。
いったい誰のこと?
ママ友は「あなたママ友付き合いが苦手みたいだし、パパさんが代わりにママ友との交流を持つべきだと思うの!」「記念すべき1人目のママ友には私がなってあげる!」「だからぜひ連絡先を教えてね!」と鼻息荒くして私にねだってきました。
それなりにママ友付き合いはしていたつもりだったので、少々ショックでした。そして、いったいママ友は誰の話をしているのか謎が深まるばかり。
変な勘違いでトラブルに巻き込まれるのはごめんだと思った私は、すぐさまいつもお迎えをお願いしていて保育園側にも認識してもらっている実の弟に電話をかけました。すると、急用ができた弟に代わり、たまたま私の実家を訪れていた幼なじみが娘を迎えに行ってくれていたことが判明。幼なじみは以前も私と一緒にお迎えに行ったことがあり、また弟から保育園にきちんと伝えてくれていたのです。
私の幼なじみはたしかにイケメンで人当たりの良いタイプ。あのママ友が一目惚れする気持ちもわかるなぁ~と呑気に考えていると、弟から「誤解を解くのも大事だけどさ、そもそも人のパパさんと仲良くなりたいってその人やばすぎでしょ。姉ちゃん気を付けろよ」と釘を刺されたのでした。
話が…通じない…?
それからそのママ友に会うたびに、幼なじみの連絡先をよこせとまとわりつかれていた私。シングルマザーであること、旦那とは死別していることをいくら説明しても、「イケメンパパを隠したくて嘘をついてるんでしょ」と聞く耳を持ちません。
困った私は再び弟に相談。すると、「やばい奴は徹底無視でいいと思う」とのアドバイスが。そこから私は娘のお迎えの時間をずらし、極力ママ友との接触を避けるようにしました。
幼なじみはそういう奴です
ママ友との接触を避け始めてから1週間後――。
「あなたのハイスペック旦那は私が奪ってやったのw」
「年収2000万のセレブ生活は私のモノ!」
「夫は事故で亡くなってるけど?」
「え……?」
一瞬動きが止まったものの、「またまた~!奪われて悔しいからって変なこと言わないで!」とママ友。
「私は本当に独身です」「旦那は2年前に事故で亡くなりました」といつもと同じように淡々と告げると、「じゃああのイケメンパパは誰なのよ!」「再婚予定の彼氏なんじゃないの!?」とママ友が詰め寄ってきました。
「あれは私の幼なじみです」「あの日だけ、家族の誰も都合がつかなくて幼なじみが娘を迎えに行ってくれたんです」
ようやく理解してくれたらしいママ友。「ふーん、略奪婚の方が刺激的だけど、年収2000万のハイスペック旦那が手に入るだけいいか」となんだかちょっぴり残念そう。略奪婚ってそんなにいいものではないと思うんですけどね……。
その後――。
幼なじみに話を聞くと、いつもの通り色恋営業をしていたことが判明。幼なじみは保険の営業マン。甘いマスクで女性客を次々と虜にして契約を勝ち取っているのです。このママ友もその一人だったとのこと。
ちなみに本人には結婚願望は一切ありません。年収2000万円は事実ですが、すべて使い切っており、貯金は0だそう。ママ友は、幼なじみの営業トークがプロポーズだったと勝手に勘違い。貯金ゼロの件も含め、なかなか認めません。仕方がないので直接幼なじみに聞くようアドバイスすると、今度は幼なじみに連絡を取ったよう。すると幼なじみは営業のつもりだったことがはっきりわかったようです。
ママ友は旦那さんと離婚してきてしまったらしく、大慌て。今度は再婚に向けて動くつもりだそうですが、どうなることやら……。
娘の保育園生活も残るところあと半年。あれから幼なじみには保育園に寄り付かないよう釘を刺しています。いろいろなママ友がいるので、本当に信頼できる人と付き合っていこうと思います。