「あら~!久しぶり~!」と声をかけてきたのは、5年前に私の元夫を略奪したママ友でした。どうやら彼女は元夫と別れ、この街に引っ越してきたようです。もうトラブルはごめんなのですが……。
目ざといママ友
「さっき、あなたの隣に男の人がいるのを見かけたんだけど……新しい旦那さんなの?」と尋ねてきたママ友。ずいぶんと目ざといこと!と驚いてしまいました。
「そこそこいいスーツ着てたし、腕時計も素敵だったし……かなり羽振りが良さそうね」「おもしろそうだから後をつけてみたら、2人でタワマンに入って行くし……再婚生活は随分と良い暮らしをしているみたいね?」
相変わらずのママ友の様子に、私は盛大にため息をつきました。「そんなストーカーじみたことはやめてちょうだい」「今後、街で見かけてもお互いに知らないふりをしましょうね」と釘を刺して、別れました。
元夫からの連絡
それから数時間後――。
今度は数年ぶりに元夫から連絡が。「今更こんなことを言うのは都合が良いと思われるかもしれないけど、やっぱり俺とヨリを戻さないか!?」と元夫。今日は厄日なのでしょうか……。思わず天を仰ぎました。
「ついさっき、あなたの浮気相手さんとも会いましたけど」と言うと、「あいつの連絡先を知っているのか!?まず居場所を教えてくれ」と夫が怒りをにじませていました。
どうやらママ友は元夫の貯金を根こそぎ奪い、自分の子どもを元夫に押し付けてから消えたそう。子どもの父親に事情を話したものの、会ってもくれなかったそうです。
困り果てた元夫は、私と再婚すればいいということに思い至ったそう。
これ以上私を巻き込まないことを条件に、元夫にママ友の連絡先を教えた私。これ以上何もないといいのですが……。
ママ友に真実を突きつけると
数日後――。
再び例のママ友と出くわした私。というよりも、ママ友が私を待ち構えていたと言った方が良いでしょう。「元旦那に私の居場所を教えたのはあんたね?逃げ切るの大変だったんだから!」と怒りながらも、なんだか機嫌は良さそうです。
「今度こそ私が金持ちになってやるわ」
「またまたあなたの旦那さんを奪って本当にごめんなさいねw」
「夫は無職だけどねw」
「え?」
またも夫を奪われてしまった私。なんとなくですが想像していたので、とくに驚きもしませんでした。
今の夫はもともと大企業に勤めていた会社員でした。昨年思い切って独立したものの、事業に失敗して会社は倒産。会社員時代に購入したスーツや腕時計を身に着け、身なりは整えているものの、実際は無職なのです。
「で、でも、タワマンで暮らしてるじゃない!貯金はそれなりにあるんでしょ?」と食い下がってくるママ友。「彼は倒産して今は多額の借金を抱えてるわ」「タワマンからは出て行ってもらうわね。うちの親が買ったタワマンだから、私はこのまま住み続けるわ」と告げると、ママ友は「ええええ!?」と叫んでいました。
その後――。
ママ友は元夫に頭を下げ、復縁を申し込んだそう。しかし、元夫は断固拒否。子どもはママ友の元に返せたそう。私のもとにはそんな元夫からの復縁要請が来ているのですが……再構築するつもりはありません。
私も結局二度目の離婚をすることになり、今は娘と2人でタワマン暮らしを続けています。娘に不安を与えないよう、しばらくは色恋沙汰を遠ざけつつ暮らしていこうと思っています。