母乳を順調に飲ませていても、急におっぱいが痛くなり、おかしいなと思っていると高熱……。頭痛、体の節々の痛みがあり、インフルエンザかと思って内科に直行したものの、医師にはインフルエンザではないと言われ、よく見るとおっぱいが赤くなっている。こんな状態が乳腺炎です。いろいろ調べてみると、あれこれ食べてはいけないものもあるようだと知るママも多いかと思います
食べ物で乳腺炎が起こったのでしょうか?
WHOによると、特定の食事が乳腺炎のリスク因子であるという証明はされていないとのことです。しかし、現場を見ている私には乳腺炎と食事内容を切り離して考えることもできません。
やはりカロリーの高いもの、脂っこいもの、乳製品の摂りすぎには注意して、薄味の和食を中心にバランスのいい食事を摂ることがおすすめです。
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乳腺炎の原因を食生活だけと考えるのもどうでしょう
乳腺炎は複合的な組み合わせでひどくなっているのかもしれません。おっぱいへの圧迫もそのひとつです。抱っこひもやおんぶひも、ワイヤー入りブラジャー、シートベルトなどによって、両脇、おっぱいの下側、おっぱいの谷間の部分などが圧迫されてしまうこともあります。
また、赤ちゃんを立て抱きにして胸の谷間に頭をもたれかけていると、おっぱいの左右どちらかに圧迫が生じます。そのほかにも赤ちゃんに頭突きされたり、ママが横たわっているときにおっぱいの上に手をついて体重をかけられたり、のし上がられたりと、案外赤ちゃんは力が強く、おっぱいが圧迫されてしまうこともあります。赤くなっている部分、腫れている部分に負担がかかっていた心当たりはありませんか?
おっぱいはやさしく扱いましょう
母乳を作る乳腺体は、体から突出している器官です。本来は体の奥にあり、筋肉や厚い脂肪で守られなければならない組織かもしれません。軽く揉んでいると思っても深いダメージをあたえているかもしれません。
まずは圧迫の強い下着を着用するのは控えましょう。また、車でのドライブ時はまめに休憩をとり、シートベルトを締めすぎないようにすることも大切です。おんぶや抱っこひもは圧迫が強くならないようにタオルなどを挟み込み、長時間の使用を避けましょう。抱っこで赤ちゃんの頭や体がおっぱいを圧迫していないか注意することも意識したいですね。
乳腺炎の症状があり、原因に心当たりがあったら、いつも以上におっぱいをよく飲ませましょう。夜間授乳をやめていた場合は再開し、離乳食を少なめにして、赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらうという方法もあります。ママ自身も白湯でいいので水分をたっぷりとりましょう。ママのおっぱいも大切な2つのわが子です。
著者:助産師 YAMADA
助産師資格取得後、国立病院、日赤病院、大学病院などで助産師として勤務。現在は母乳相談室を開設するかたわら、ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。助産師一筋、2児の母。