美人で気が利いて、やさしい私の妹。そんな妹が、私の夫と半年も前から浮気をしていたというのです……。
妹の勘違い
「彼ほど私にぴったりの人はいないと思うの!」「お姉ちゃんじゃない他の誰かの夫でも、奪ってたもん!」と妹。妹にとって夫のどこが魅力的なのか、正直わかりませんでした。
「だって、彼すごいじゃない!年収が2000万もある一流商社マンだなんて!」「平凡なお姉ちゃんより、ミスコンで優勝して仕事もできる私の方がお似合いじゃない!」
「お姉ちゃんには悪いけど、彼だって『もうブスの顔は見飽きた』って言ってたし……」と妹はさらに続けました。たしかに、私は妹と比べたら平々凡々。それでも、夫とは良い関係を築けていると思っていました。
「できるだけ早く彼と離婚してね!」「そしたら私、すぐに彼と結婚するから!」と妹。妹と夫、両方から裏切られた私は、しばらくショックで動けませんでした。
離婚の条件
その後――。
夫からも離婚を迫られた私。もう何を言っても無駄なようです。
それにしても、義母を施設に入れた途端に離婚を切り出されるなんて……。夫と義母を支えてきた私の努力はなんだったのだろうか、と思わずにはいられませんでした。
財産分与のほかに、私は夫に慰謝料として500万円を、妹には200万円を請求しました。夫は「新生活にお金が必要だから……」と渋りましたが、妹の「お姉ちゃんに慰謝料全額払ってあげて、じゃないといつまで経っても私と結婚できないよ?」という言葉でようやく支払ってくれました。
妹からは「年収2000万の彼からできる限りお金を絞り取りたいだなんて……お姉ちゃんがそんなに強欲だなんて知らなかったよ」とも言われましたが、慰謝料請求は当然の権利だと主張したのが良かったようです。
嘘は言ってない
その後――。
慰謝料の件が片付き、私たち夫婦はそのまま離婚。元夫はすぐさま妹と入籍していました。
「年収2000万の彼とタワマンは美人の私に相応しいの!」
「ブスなおね絵ちゃんは貧乏人がお似合いなのよw」
「彼、年収200万以下だけど」
「え?」
「一流商社マンで、タワマン最上階で暮らせる人がそんなわけないじゃない!」と一笑されましたが、元夫はただのサラリーマンです。
「彼、私に言ったもん!収入はざっくり200万くらいって」「月収でそれなら、単純計算で年収2000万は手堅いでしょ」と妹。
「彼、収入って言ったのよね?月収とは言ってないんじゃないの?」「信じられないなら、本人に確認してみたら?」と私が言うと、妹は「確認してくる!2000万円は無理でも、さすがに1000万くらいはあるはずよ!」と言って荒々しく電話を切りました。
30代後半の元夫が年収200万以下だとは、妹には信じられなかったのでしょう。しかし、認知症の義母の介護のために介護休暇を取っていた元夫の月収は、新卒時とあまり変わっていませんでした。自宅介護で腰を痛めた元夫はさらに休暇を取っていたため、年収は200万にも満たなかったのです。
そして、私たちが住んでいたタワマンは義母が借りていたもの。同居で介護するために、私たちが移り住んだのです。
認知症になる前の義母はバリバリのキャリアウーマンで、タワマンに住めるくらいの収入があったそう。その義母の貯金や年金はすべて施設への支払いに消えるので、とくに遺産があるというわけでもありません。
その後――。
真実を知った妹は「こんなの結婚詐欺だ、離婚しろ!」と言ったそうですが、夫は「嘘はついていない、君が勝手に勘違いしただけだ」と離婚にはがんとして応じませんでした。元夫は妹をつなぎとめるため、仕事に打ち込んでいるようですが、妹の心はすでに離れてしまっているようです。
誤解を生むような発言をした元夫も元夫ですが、その言葉を自分の都合の良いように受け取り、勘違いしていた妹も同罪です。相手に余計な勘違いをさせないように、言葉の使い方には気を付けようと思いました。
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