通常の確定申告と異なり、会社員・公務員・病院や教育機関に勤務する人など、給料をもらう方(=給与所得者)の還付申告は、1月4日から税務署で受け付けが始まっています。
以前、「領収証の整理はできていますか?来年1月から始まる医療費控除の還付申告」という記事では、子育て世代の還付申告で対象になることをお伝えしましたが、今回は出産前後に関連するポイントをお伝えいたします。
1.還付申告に必要な書類
還付申告の受付は1月4日から始まりますが、書類が揃ってからでないと手続きできませんので、以下の書類が揃ってから申告するようにしましょう。また、対象とならない項目の書類は提出不要です。
(1)還付申告を受ける人の源泉徴収票(必須・一般的には夫)
(2)配偶者控除・配偶者控除を受ける人の源泉徴収票(給与の場合は年収141万円以内・一般的には妻)
(3)医療費控除の提出書類(分娩費用と通常の医療費の領収証、通院の交通費の明細や領収証等)
(4)年末調整後に加入した生命保険等の控除証明書
(5)ふるさと納税の寄付金証明書・年末調整をしていない住宅ローン減税の書類等その他の控除書類
(6)還付申告を受ける人の口座情報(金融機関名・支店名・口座番号)(通帳・キャッシュカード等)
2.還付申告の注意点
(1)医療費控除は自己負担額が10万円を超えた分が対象
医療費控除は、通常の医療費と出産にともなう健診・分娩費用の自己負担分が対象となりますが、一般的には健康保険から出産育児一時金が支給されます。この金額(一般的には42万円)は自己負担でありませんので、医療費控除の対象額から外れます。
また、帝王切開などで民間の医療保険から支給された場合も同様です。以下の計算例を参考にしてください。 (例)分娩費用 60万円、その他の医療費15万円、通院の交通費2万円、出産育児一時金42万円、 民間の医療保険の給付金5万円 の場合 60万円+15万円+2万円-42万円-5万円-10万円(所得が200万円以下の場合は所得の5%) =20万円 が医療費控除の対象(所得税10%・住民税10%の場合は4万円の減税)
(2)還付金の口座は所得のある人の口座で申告
還付申告は、所得税を納めている本人が対象となりますので、別の人の口座へは還付できないようになっています。よくある間違いとして、所得のある夫についての還付申告を妻が窓口で手続きするので、妻の口座を記入してしまうことがあります。還付申告の対象者と口座名義人が異なる場合は再度手続きが必要になることもありますので、申告の対象者と口座名義人を一緒にしましょう。
また、当たり前ですがATMでの医療費還付をすることはありませんので、詐欺にもご注意ください。
(3)医療費以外の控除やその他の所得がある場合はまとめて申告しましょう
医療費控除はいくつかある確定申告の項目のひとつです。生命保険料控除やふるさと納税、住宅ローン減税、副業等の所得の追加等、医療費以外に確定申告する内容がある場合は合わせての申告が必要です。
慣れていない人は別々に手続きしないようにしましょう。副業等の所得がある場合は、納税になる可能性もありますので、通常の申告期間(2月16日~3月15日)で相談をしながらお手続きされるほうが確実に手続きできると思われます。
還付申告が初めての人や慣れていない人は、分からないことや気になることがあったら、税務署や市区町村の住民税担当部署に事前に確認しましょう。書類等が不十分の際は、やり直しや再提出が必要になることもありますので、時間に余裕を持って準備してからお手続きをするようにしましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。