社長令嬢が夫を指名!?
異動してきたのは、なんとわが社の社長の娘。そして、「私の指導担当はイケメンのみ」と、夫を強引に指導担当に任命したらしいのです。部長はもちろん、彼が既婚者で妻は私であると説明したそうですが、彼女はおかまいなし。その日、夫は一日中彼女に振り回されたようで、ぐったりしながら帰宅しました。
すると、夫の電話に着信が。発信者は、例の社長令嬢。夫は私に「手を上げたら限界の合図だから、俺に電話してくれ。そしたらキャッチだって言って電話を切れるから」と言って、しぶしぶ応答したのですが……。
「もぉ、出るの遅い! 今日は楽しかったって伝えたかったのぉ。明日もいろいろ教えてねぇ~」
やたら粘り気のある女性の声がこっちまで丸聞こえです。夫は無言で私を見て挙手。私は彼のスマホに電話をし、夫は「すみません、キャッチが入って……」と通話を切ったものの、5分後にはまたもや社長令嬢から電話がかかってきたのです。
その夜、繰り返し鳴る電話に夫が出ることはなく、23時くらいにようやく着信がなくなりました。これは大変なことになる、と覚悟した私。しかし、彼女からの鬼電はこの日のみで、あきらめたのだろうと胸をなでおろしたのですが……。
夫の行動があやしい…
その日以降、夫の帰宅時間が明らかに遅くなりました。朝は私より早く出勤し、休日返上で仕事をするように。おまけに家ではスマホを常に持ち歩き、コソコソ誰かと電話をしている様子。うーん、これはあやしい!
しかし、浮気をするにしても相手は誰? まさかあの社長令嬢では? 私は、何かヒントがないかと夫の動向を探ることにしました。すると次第に、状況が把握できました。そして、私が掴んだ真実をいつ彼に話そうかと機を見計らっていると、思いがけない出来事が起きました。
その日は日曜。夫は夕方まで仕事だと言って出かけ、私は家で食事を作って待っていました。すると突然、社長令嬢がわが家に押しかけてきたのです!
ドア越しに、「話があるの、いるんでしょ!」と大声を出す彼女。私は夫に急いで帰宅するよう連絡し、何をされるかわからないのでドアを挟んで話をすることにしました。
そして、うまく誘導すればポロリと証拠を話してくれるかも……。そう思った私はスマホの録音機能をオンにして、会話をスタートさせたのです。
まさかの人物も登場
「あいにく夫は留守です。お引取りを」と言うと、社長令嬢は「あんたこそ引き取って! ここには私が住むんだから、あんたは邪魔。さっさと離婚して!」「離婚しないなら、パパに言って事務職のあんたなんかどうにでもしてやるぅ」とわめき出しました。
「どういうことですか? 夫と不倫? 証拠でもあるなら、身を引きますが」と冷静に答えると、社長令嬢はペラペラと話し始めたのです。
「なら教えてあげるけど、あんたの夫はね、私が担当に指名したとき、『光栄です』ってみんなの前で告白してきたのよぉ」
(いやそれ、社会人として普通の挨拶だし……)
「それに~、会ったその日にぃ、連絡先を交換しようって迫ってきてぇ」
(部下と社用携帯の電話番号を交換しただけでしょ……)
「目が合った瞬間から、私たちの恋は始まったのぉ! これは運命よぉ」
(あの夜、夫は相当嫌がっていたけど……)
彼女の話にへきえきし始めた私。ちょうどそのとき夫が帰ってきたのですが、なんと、彼女の父親である社長も一緒だったのです! 私はようやく扉を開けました。
夫が反撃を開始!
「パパも加勢しにきてくれたのぉ? 私たち、真剣に愛し合っていてぇ~」と主張する社長令嬢を見て、私は夫にアイコンタクト。すべてを知っていること、彼を疑っていないことを暗に示すと、向こうもうなずいてくれました。
そして、夫は反撃を開始。
「社長、お聞きください。僕は彼女につきまといのようなことをされています。これはセクハラです。お嬢さんのことを悪く申し上げたくはないですが、すべて完全に彼女の思い込みです」
夫がそう話すと、彼女は顔を真っ赤にしながら反論。
「な、何よ。俺に離れずついてこいって言ったわ!」
「取引先で迷子になったから、仕方なくね」
「私たち交換日記しているじゃないのぉ!」
「業務日誌だ、仕事の一環だよ」
「ラブラブのモーニングコールだってぇ」
「毎日遅刻するから、せかすための苦肉の策だ」
「パパにも毎日アピール電話していたでしょ」
「君の勤務態度と、そのせいで被った残業の報告!」
そう、夫が激務になったのは全部彼女の尻拭いのせいで、電話の相手は社長だったのです。勘違い令嬢が勝手に夫と不倫している気になっていただけ。社長も、娘のわがままな性格には思うところがあった様子。さらに、私が先ほど録音した脅迫に近い彼女のわめき声を聞かせると、もう事態は明白でした。
「君たちには迷惑をかけた……。娘は会社を辞めさせる。金輪際、君たちに近づけないようにする」
夫は辞職も考えていたようですが、社長から「私にあんなにはっきりものを言える人材はいない!」と信頼され、なんと昇格。今では社長の右腕として働いています。そして私はというと……夫との子どもを授かりました! この事件があってから、私たちは今まで以上に固い絆で結ばれています。
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