先だと思っていた10年間の早さにあ然
10数年前に、新築マンションの広告を見つけて内覧会へと参加した私たち夫婦。結婚してまだ2年ほどで、第1子が半年ほど前に生まれたばかりのころでした。新築マンションで、部屋の広さや間取り、日当たりの良さ、ベランダの大きな窓から見える景色も気に入り、購入することを決めました。
問題なく快適に住んでいたマンション。早いもので10年以上が経過し、当初から予定されていた外壁工事の時期がやってきました。購入当初はまだまだ先だと思っていたのに、子育てしながらの10年はあっという間でした。外壁工事をおこなうにあたっての説明会や注意事項の書類なども回覧され、具体的な期間や内容のお知らせも受けました。その中に、「ベランダの物をすべて撤去のお願い」という内容があり、工事開始前にベランダの私有物を撤去しないといけなくなったのです。
わが家の場合は、私が趣味で育てていた植物の撤去でした。10年という期間を経てあれこれ育てた植物。プランターの数もいつの間にか10個ほどにまで増えました。植物は元気に咲いている状態で、これをすべて撤去するのはなんとも心苦しくなりました。
お気に入りがなくなる喪失感
マンションでしたが、ベランダにプランターを置いて花を育てると、日当たりも良いこともあり元気に育っていました。ベランダのすぐ横はリビングで、そこは掃き出し窓で大きいため、ベランダで咲く花をいつでも眺めることができました。子どもたちが小学生になると、学校で育てたホウセンカやオクラやプチトマトを持ち帰り、そのまま家で育てた時期もありました。私にとって思い出がたくさん詰まった空間でしたが、外壁工事の時期がやってきました。
元気に咲き続ける植物の処分はかわいそうなので、植物や土は実家へ引っ越ししました。とりあえずベランダの片付けは無事終了できましたが、いつも眺めていた外の風景が足場やネットで遮られ、見えなくなるのはなかなか慣れません。もちろん自然光も入りずらく、日中でも部屋が暗く感じます。いつも朝は通学する子どもの姿をベランダから見守っていた私。それも半年間できないし、洗濯物も自由に干せません。当たり前のことができない悲しさやもどかしさ、自分にとっての楽しみが一気に奪われたようで、心にぽっかり穴が開いたような喪失感の日々となりました。
小さなことでも楽しみを見つける喜び
気持ちが落ち込んだまま半年間を過ごすのは、本当につらいと思いました。一番は自然光が入りにくく、部屋が暗く、外の景色が見えないことが私には一番の苦痛でした。ですから、家の中でも自然を感じられるような、花や植物、蝶々や鳥のデザインされたウォールステッカーを購入し、壁にペタリと貼っていきました。
もともと観葉植物も育てていたので、そこに鳥や蝶々のウォールステッカーを貼ると、より自然をリアルに感じられちょっぴりうれしくなりました。それに、部屋の衣替えも気分転換になり、心が少しウキウキもしました。さらに、工事終了後の半年後には、再びガーデニングを楽しめるようにプランターを置く棚をペインティングし直したり、夫に頼んで少し棚の改造もしてもらいました。
そんな半年後の楽しみを想像しながら過ごしてみると、心の落ち込みも徐々に解消されていき、不思議なことに工事開始ごろは2カ月ほどこなかった生理も、今は安定している状態に戻りました。どんなに小さく当たり前すぎることでも、私にとっては心の安定につながっているような気がしました。自分が心地よく、楽しいこと、幸せなことを1つでも多く見つけていきたいです。
まとめ
外壁工事も終わり、今は再びガーデニングを楽しんでいます。ベランダで色鮮やかな花が無邪気に咲いている姿は、やっぱりいいものです。心の癒やしになります。今回、ちょっとした環境の変化や、お気に入りの物を失った喪失感で心が乱され不安定になりました。40代になって時折り起こる生理不順が、更年期と心の不調でさらにゆらぎました。それと同時に、私の中で覚悟するべきことも見えてきました。
いつか巣立ってゆく子どもたちや、避けては通れない親との死別です。再び今回のような喪失感がやってくると確信しました。この経験をもとにもっと心を強くしたいですし、揺らがない心でいられるような楽しみ、幸せにつながるものを見つけたいです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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著者:izuみん
小学生の子ども2人を育てる母です。40歳を過ぎても美しい女性でありたいと強く願う私。外見はもちろん内面に関しても楽しいこと&うれしいことをして日々笑顔で過ごしていきたいです。