口内環境には気をつかってきたのに
幼いころ、歯科に行くタイミングは虫歯になったときでした。それもかなり進行した状態で受診するので、歯を深く削って詰め物をして……という治療法がとても怖く、歯科に行くのがとても嫌いでした。
私は、生まれつき永久歯が足りない「先天性欠如歯(せんていせいけつじょし)」が4本あり、30歳になるまで乳歯4本が頑張ってくれていました。しかし、そのうちの1本がひどい虫歯になってしまい……。今後を考え歯列矯正と歯科インプラントという治療法を選択し、30歳になるころ治療をスタートさせたのです。
歯列矯正が始まると、常に口の中に意識がいくようになり、今まで使ったことのなかったデンタルフロスや歯間ブラシ、舌ブラシを使いこなし、食べたらすぐに歯を磨いて口内を清潔するという生活が始まりました。
数年後、歯列矯正と歯科インプラントが無事に終わり、ホワイトニングまで済ませた私は、これまで以上に口内環境に気をつかう日々を過ごしていました。しかし40歳を過ぎたころ、家族の入院が重なり、自分のことは後回しという生活が続き……。
気付けば歯のお手入れもおろそかになり、奥歯に違和感を覚えながらも、歯科に行く心の余裕がなく半年以上が過ぎていました。
ひどい虫歯と歯肉炎と告げられ…
それからさらに数カ月が過ぎるころには、なんとなく奥歯の歯茎の色や状態、口臭が気になり始め、歯間ブラシを使うと毎回出血するという状態になっていたのです。さすがに家族のことだけでなく、自分のことも気にかけてあげなければと、歯科で診察を受けたのでした。
歯科医に診てもらうと、「これは結構ひどい虫歯になっちゃったね~」と現実を突きつけられました。さらに追い打ちをかけるように、「歯茎の状態も良くないね。歯肉炎(軽度の歯周病)だね」と。歯肉炎という言葉は聞いたことがありましたが、どれくらい悪い状態なのか、どうやって治療するのかという知識がなく、ひどい虫歯と歯肉炎で、もしかしたら歯を抜かなければいけない? と、内心ドキドキハラハラでした。
私の心の中をのぞいたかのように、歯科医は「心配しなくても大丈夫ですよ。ブラッシングで治りますから」。そう言いながら、小学生のときに見た、歯の模型と歯ブラシを私の目の前に持って来て、歯のブラッシング方法の説明を始めたのです。
え~! 40歳を過ぎて歯の磨き方を習うなんて、ちょっと恥ずかしいなぁ~と思いながらも、あれっ? 昔教えてもらった磨き方と違うかも。 私、こんな磨き方していたっけ? と、自分の歯の磨き方を必死に思い出していました。
40歳を過ぎて正しい歯の磨き方を再認識
私が小学生のころに習ったのは、歯間の汚れをかき出すように歯ブラシを縦に動かすという磨き方だったように記憶していました。しかし、歯科医が教えてくれたのは、歯と歯茎の間に45度の角度で歯ブラシを当て、横に小刻みに動かすという方法。おそらくこの磨き方も小学生のころに習ったと思うのですが、あまり記憶にないということは、意識的にできていなかったのだと思います。
たしかにこの磨き方なら歯肉炎の改善のためによいことは理解できるのですが、今の状態で歯ブラシを当てて磨くと痛くて出血します。「初めは痛いし出血もあるけど、続ければ良くなるから」と諭され、痛みに耐えながら医師が実際に磨いてくれるのを手鏡で見ながら、ブラシの角度や動かし方、力の入れ方を覚えました。
それから私の歯磨きへの意識が変わりました。40歳を過ぎて歯磨きの方法を改めて教えられたことは、私の中でかなりショックな出来事だったのです。歯科衛生士から磨き残しがある部分も教えてもらい、その日のうちに部分磨き用の歯ブラシや手鏡を新調。今まで正しい磨き方ができていなかったという恥ずかしい気持ち、これ以上ひどくなっては困るという気持ち、ブラッシングだけで歯肉炎が治るなら……というさまざまな気持ちが入り交じっていました。
その後、教えてもらった通りの歯磨きを自宅で続けるうちに、出血がなくなり、痛みも少しずつ減っていきました。また少し赤かった歯茎の色は以前のような明るいピンク色に戻り、ハリも戻ってきました。
まとめ
歯磨き指導を受けてから1カ月後の診察時には、「歯肉炎、すっかり良くなったね」と、医師にも歯科衛生士にも言ってもらうことができ、ひと安心したのを今でも覚えています。正しい歯の磨き方を教えてもらったおかげで、毎日のブラッシングの大切さと口内の改善を感じることができました。
10年後、20年後、そしてそれ以降も、自分の歯でおいしく食事ができるよう、引き続き口内環境に気をつかっていきたいと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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著者:バニラ
独身。病気を機に自分の体を大切にしてあげることを痛感。食事内容に気を付け、運動する機会を増やすよう奮闘中!
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