ニオイの正体は…
独特の臭いで少々不快に感じたものの、甘ったるさも感じていたため、はじめのうちは新作の香水かな?と思っていた私。そのときは夏だったこともあり、「きっと香水と汗が混じった臭いなんだろう」と自分を納得させました。
半年後――。
今度は冬に会うことにした私たち。今回は私の運転で出かけることになったのですが、また彼女から以前嗅いだ臭いがするのです。さりげなく窓を開けながら移動し、予約していたごはん屋さんに着くと、彼女はおもむろに口から何かを取り出しました。それは……ガムだったのです。
親友は味のなくなったガムを噛み続けていました。ほのかに残るガムのにおいと、彼女の唾液が混じり合って、あの何とも言えない独特の臭いを生み出していたのです。
親友とはいえ、さすがに「くさい」とは言えなかった私。それからも、親友からあの臭いがするときは、少し離れて話すようにしています。
口臭ケアのためにガムを噛み始めた、と前に言っていた親友。口臭ケアのためのものが、逆に口臭の原因になってしまうこともあるのかと驚きました。
口臭は自分では気づきづらいので、私は歯科の定期検診で相談するようにしています。自覚なく他人を不快にさせることがないように私自身、気を付けようと改めて思った出来事でした。
イラスト/海乃けだま
著者:山本典子
40歳の専業主婦。日々の楽しみは友人とのランチや友人との旅行。