夫の親友・スグルさんは、たまにわが家に食事をしにきます。今日は「話がある」と言っていたので何かいい報告があるのかも? と思っていました。
親友の「産めハラ」
もしかしたらお祝いになるかもしれないと思い、私はちょっと豪華な料理を作っておもてなしをすることにしました。スグルさんも喜んでくれたので、作った甲斐があります。
しかしお酒を飲み、饒舌になったスグルさんは「子どもはいいぞ! 女はいつまでも産めるわけじゃないんだからさ!」と、いつもの話題へ。
何も知らないスグルさんに悪気がないことはわかっているのですが、いたたまれなくなり席を外すと、意外な言葉が聞こえてきたのです。
耳を疑う言葉
「実はさ、俺は子どもが欲しいんだけど、嫁が子どもきらいで……。無理強いするものじゃないから、嫁の気持ちを優先しているっていうか……」と夫。私は耳を疑いました。
デリケートなことなので、事実をすべて話してほしいとは思いませんが、さすがにウソを言うのは違います。しかも、私のせいにするなんて信じられません。
夫の言葉を聞いたスグルさんは、俺が話を付けてやる! と言って私を呼びました。夫は慌ててスグルさんを制止していますが、私は何も聞こえなかったフリをして2人のもとへ。
正直、子どものことで心無い言葉を言われるのはもう慣れっこです。だから、冷静に対応するつもりでした。
「子どもが欲しい奴と結婚したのに、後から子どもがきらいだから生まないっていうのは、ズルくないか? こいつの人生潰す気? 子どもを産まないなら離婚してやってよ!」
一方的に私を責めるスグルさん。夫はかなり焦った様子でした。
夫が許せない!
スグルさんはエスカレート。あまりにひどい言葉の数々に、私も我慢の限界です。私を庇ってくれなかった夫も許せません。
夫には気の毒かもしれませんが、数年前に受けた不妊治療の結果が書かれた用紙を、スグルさんの前にそっとおきました。
用紙を見たスグルさんは真っ青になり、私と夫に向かって土下座して謝ってくれました。しかし謝ってほしいのはスグルさんではありません。自分の保身ばかりで私に矛先が向いても、何もしなかった夫です。
スグルさんが帰った後、私たち夫婦は腹を割って話し合いをすることにしました。
話し合いの結果…
数年後、私は夫の子どもを妊娠!かわいい女の子を出産し、家族3人で幸せに暮らしています。 子どもが諦めきれないという夫の本心を聞いて、改めて治療を受ける決心をしました。
夫は自分のせいでつらい治療を私にさせてしまったり、費用面で家計の負担になったりするのがイヤで、治療をしたいと言えなかったよう。何度も再度相談しようと考えていたものの言い出せないまま、スグルさんの前で強がってしまったと話しました。
今となっては、スグルさんの暴走をきっかけに再び話し合うことができたので感謝しています。
妊娠や出産はデリケートな話。第三者が口を挟むのは控えたいもの。また夫婦間では、納得がいくまでしっかり話し合えるといいですね。