駐車代が無料になるサービス
レストランで食事を終えて受付に行くと、駐車券を持っていた夫が私に手のひらを向けて「レシートちょうだい」と言いました。
この日の食事代は夫が支払いをしたので、私は「私は持ってないよ。夫くんが持ってるんじゃないの?」と返事をしました。しかし、夫は「いや。支払いのあとにレシートを渡したよ」と言うのです。私はまったく身に覚えがありません。
受付の方も困った顔をしていて、私たちのうしろに並んでいるお客さんもいたため、私たちは一旦受付を離れることにしました。
レシートはいったいどこへ?
その後、受付を離れた私たちは近くにあったベンチに座り、レストランから出るときにレシートをどうしたのか、話し合いました。
支払いを済ませるとき、夫がレストランの店員さんからレシートを受け取ったことは、お互いに覚えていました。そのあとにレシートを私に渡したと主張する夫と、夫からレシートはもらっていないと言う私。
話し合いは平行線のまま、お互い少しずつ口数が少なくなり、嫌な空気が立ちこめてきたとき、夫が突然「この辺りのゴミ箱に君がレシートを捨てたんじゃない?」と言い出しました。
まさかそんなこと…
「ゴミ箱にレシートを捨てるなんてしないよ! 帰りに必要だってわかってるし!」と夫に反論する私。しかし、夫は「手元にないってことは絶対ゴミ箱に捨ててる!」と言います。そして夫は、私たちが座っているベンチの周囲に3個ほどあったゴミ箱の中を、ひとつひとつ探し始めました。
私も手伝うべきだとは思いましたが、近くにいる人たちが夫のことを変な目で見ているし、誰が何を捨てたのかわからないゴミ箱に手を入れるなんて汚くて嫌だと思い、その場に突っ立っていました。
その後、しばらくしてもレシートは見つかりません。そこで、夫に「絶対にゴミ箱には捨ててないから」と再度伝えて、ゴミ箱を探すのをやめさせようとした瞬間、夫が「あった!」と言い、飴の包み紙と一緒に、クシャクシャになったレシートを見つけ出したのです!
その飴の包み紙は、レストランに来る途中、私が車の中で食べていた飴でした。ということは……レシートをゴミ箱に捨てた犯人は私です。「やばい! 夫から怒られる! 謝らなきゃ!」と思い、「本当にごめんなさい」とすぐに謝ると、夫は怒ることなく「レシート見つかってよかったね。帰ろうか」と笑顔で答えてくれました。
私にひと言も文句を言わない夫の心の広さに、この人と結婚して本当によかったと再確認できた事件でした。
著者/吉野 詠美
作画/おはな
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!