「最近、あなたの旦那さんが冷たい理由は、私と付き合ってるからでした~!」と言ってきた幼なじみ。
「ここのところ、毎週末は出張だって言って家を空けているでしょ?実は私とデートしてるからなの」「地味でおとなしくて私の陰に隠れていたあなたが、会社社長の男と結婚するなんて許せなかったのよね!悪いけど、奪わせてもらったから!」と聞いてもいないのに、ベラベラ話し出した幼なじみ。
急に夫の略奪宣言をされても……。夫は、もう……。
その人、私の夫じゃない
「あんたの旦那奪って玉の輿婚することになったのw」
「負け組はさっさとタワマンから出て行け!」
「3年前に離婚してるけど?」
「え?」
しばらく無言が続いたものの、幼なじみは「何意味わかんないこと言ってるのよ!」「私に彼を取られたくないからって変な嘘をつかないでくれる?」と怒り出しました。
しかし、本当に私たちは3年前に離婚しているのです。いくら言っても、「彼はちゃんと薬指に結婚指輪をしているわよ?」「テキトーな嘘ついて、私に諦めさせようとしたって無駄だからね」と幼なじみは聞く耳を持ってくれませんでした。
挙句の果てに、「そんなに離婚した設定を貫きたいなら、本当に離婚させてやるわ!」「私が彼と結婚するから、早く離婚届にサインして出て行きなさい!」とまで言ってきたのです。
浮気癖は直らない
私たちの離婚の原因は、夫の浮気でした。私は慰謝料をもらって離婚。
元夫は私と別れてすぐ再婚。「再婚した」と連絡があったときに、「俺みたいな会社経営者は女が寄ってきて仕方ないんだよな」「俺との生活が恋しいなら、第二夫人ぐらいにならしてやるぞ」と言われ、私は呆れ果てました。心底、元夫と離婚してよかったと思ったほどです。
念のため、夫には幼なじみから言われたことをメッセージで送りました。「悪いこと言わないから、幼なじみとは別れなさい」「あなたみたいなクズに振り回されるのは私だけで十分」「せっかく再婚したんだから、奥さんのことだけ大事にしなさいよ!」と釘も刺しておきました。
本妻VS.幼なじみ
2週間後――。
幼なじみから「今日からこのタワマンに帰ってこなくていいから!」「ここは私と彼との愛の巣になりました~!」「あんたの荷物は全部捨てる手配を整えたから、これで心置きなく離婚できるわね!」と連絡が。
まさかの暴挙に、私はあ然。しかし、幼なじみは「やっぱり社長夫人っていい暮らししてるのね!明日引き取りに来る業者も驚くわね~」と、自分のやっていることの愚かさを理解していないようでした。
仮に、妻が私のままだったとしても、幼なじみの行動は許されるものではありません。幼なじみは妻が女友だちと1週間ほど海外旅行に行った際、元夫からタワマンに出入りしやすいようにと、合鍵をもらっていたのだそう。
「早く、業者の予約を取り消しなさいよ!自分のやっていることをわかってるの?今の奥さん、きっと激怒するわよ」と最後の情けをかけた私。
すると、幼なじみは「え?今の奥さんって?」「だって、あんたが奥さんでしょ?頭でもおかしくなった?」と私を嘲笑って電話をブチッと切ったのです。
その直後、幼なじみは元夫と本妻と鉢合わせ。元夫は幼なじみがいることに驚愕し、「なんでうちにいるんだよ!」と怒鳴ったそう。そしてそのまま、本妻に浮気の弁明をしていたそうです。
本妻は冷静な方で、幼なじみに慰謝料を要求したそう。タワマンを追い出された幼なじみから泣きつかれましたが、自業自得でしょう。
その後――。
私のもとに、離婚に悩む元夫の現本妻が、元夫の携帯から連絡先を見たと言って連絡が来ました。連絡にはとても驚きましたが、私は今までのことを洗いざらい話しました。どうやら本妻は誰もが知る大金持ち一家のお嬢様。私と離婚後、倒産寸前だった元夫の会社は、本妻の実家の援助でどうにか立て直しに成功したそうです。
恩を仇で返した元夫に、本妻は激怒しつつも、元夫の浮気は、私の幼なじみのアプローチに押されてしまっただけなのかもしれない……とも考えて許してやり直すべきか迷いに迷っていたのだそう。しかしそれも、私に起こったことをすべて話したことで、元夫の浮気癖は直らないと悟ったのか、離婚を決意した様子。その後、本妻はかなりの慰謝料を請求し、元夫と離婚したようです。
同じ男性に振り回されたこともあって、私とそのお嬢様は意気投合。今では時々お茶を飲みに行く関係になりました。なかなかお互いの気持ちをここまでわかり合える人はいません。幼なじみと元夫との悪縁を切ったことで、生涯の友を得たと思っています。