涙をこらえてお礼を伝えた
途中の大きな駅でだいぶ人が降り、スペースが確保できたものの、娘はグズり続けています。動けるようになったので、次の駅で降りるしかないと考えていました。
そこに、50代くらいの女性が「ねぇちょっと!!」と声をかけてきたのです。怒られる……と思い、とっさに身をすくめてしまいました。
しかし、その女性は「こっち! こっちよ!」と言って、空いている席に誘導してくれたのです。
お礼を言ってありがたく座らせていただいたのですが、娘の機嫌はなかなか直らず、目的地に着くまで私は立ったり座ったりを繰り返すことに。しかし、その間も声をかけてくれた女性が見守ってくださり、他の乗客のみなさんもにこにこと娘に話しかけたりしてくれて、かなり気持ちがラクになりました。
さらに、みなさん降りるときに「元気があっていいね」「きっといい子に育つよ」などと私を励ますように声をかけてくれたのです。初めての育児で自信を失いかけていたこともあり、涙をこらえてお礼を言うのが精一杯でした。
このときは見ず知らずの方々に、精神的にとても助けられました。今までは見知らぬ人には恥ずかしくて声をかけることができなかった私。子連れの方を見ると、何かお手伝いできそうなとき、困っているときには声をかけられるようになりました。
イラスト/はたこ
著者:狭山はるか
1歳の女の子の母。先月育休終了し家事育児の両立の上手なやり方を模索中。