こんにちは! 助産師のREIKOです。性器ヘルペス感染症は妊娠中に注意が必要な感染症の1つです。今回は、「性器ヘルペス感染症」についてお話ししたいと思います。
若い人ほど感染率が高い「性器ヘルペス感染症」
日本産婦人科医会が平成28年におこなったアンケート調査によると、妊娠中に性器ヘルペスに感染した妊婦さんの割合は、536人に1人だったとのこと。年代別の感染率は若くなるほど高く、19歳以下は269人に1人、20~29歳は442人に1人、30~39歳は556人に1人、40歳以上では 721人に1人でした。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、1型は主に唇に感染し、2型は性器に感染します。性器ヘルペスは、性行為や接触によって単純ヘルペスウイルスに感染し、発症します。単純ヘルペスウイルスは一度感染すると生涯にわたり体の中に潜伏し、疲労などで免疫が低下すると再発を繰り返すという特徴があります。
1型は接触感染により20代までに約半数が感染しているといわれており、オーラルセックスの普及によって性器に感染することがあります。また、性行為開始時期の若年齢化もこの結果に影響があるのではないかと考えられます。
性器ヘルペスに感染するとどうなる?治療法は?
単純ヘルペスウイルスに初めて感染すると、症状が出ないケースも多くみられますが、外陰部に水疱や潰瘍ができ、強い痛みを伴います。そのため排尿や歩行がしにくくなることも。そのほか、発熱や足の付け根のリンパ節が腫れたりするなどの症状が出ます。あまりに痛みが強く、日常生活が困難な場合、入院し、膀胱留置カテーテルを入れて安静にし、薬を使って性器ヘルペスの治療をされた患者さんもいらっしゃいましたよ。
また妊娠中の性器ヘルペスは、おなかの中の赤ちゃんに感染する恐れがあります。感染経路はいくつかありますが、特に問題になるのは赤ちゃんが産道を通ってくる間に感染してしまう産道感染です。性器ヘルペスに初めて感染したケースや性器に病変がある場合、約30~60%の赤ちゃんが新生児ヘルペスを発症し、治療をしないと約80%が死亡すると言われています。
性器ヘルペスの治療法には、抗ウイルス剤を使用します。抗ウイルス剤は軟膏や内服薬、点滴などがあり、過去に性器ヘルペスを発症した人には予防的に使われることもあります。
性器ヘルペスを発症したときのお産の方法は?
妊娠中に性器ヘルペスを発症してしまった場合、産道感染のリスクがあるため、初めての感染や性器に病変がある場合は、帝王切開が選択されます。日本産婦人科医会のアンケート結果によると、性器ヘルペスのために帝王切開になった妊婦さんは、調査対象全体の15%という結果となっていました。
また、予防的に抗ウイルス剤を使用している施設は少ないものの、78.3%が予防投与によって帝王切開が回避できたと考えられていました。しかし、薬を使い始める時期などに幅があり、まだまだ検討が必要だとのことです。
最初に、単純ヘルペスウイルスは一度感染すると生涯にわたり体の中に潜伏し、疲労などで免疫が低下すると再発を繰り返すという特徴があるとお話ししました。妊娠中は免疫力が低下するということもあり、過去に性器ヘルペスになったことがある人は再発したり、過去に症状が出なかった場合でも症状が出ることがあります。再発の場合には、初めての感染のときよりも症状は軽いことが多いですが、きちんと治療する必要があります。過去に性器ヘルペスになったことがあったり、外陰部に違和感があるような場合には、かかりつけ医に相談して安心して赤ちゃんを迎えられるようにしましょう。