夫が私をパートナーに選んだ理由、それはある程度歳を重ねた女のほうが気が利いてラクができると思ったから。聞いていて、あきれてしまいました。家事もそこそこできて、稼ぎもそこそこ、そんな妻が良かったみたいです。しかし夫いわく、私は見込み違いだったと。
女だから、男だからと、何でも性別で判断する夫に、最近キレ気味です。夫は「女だから夫の弁当を作る義務がある」「男だから家事をやる必要がない」と言い、家でゲームや動画を見てダラダラしています。その一方、私は家政婦、いえ奴隷のように働いています。常に上から目線で、女性をなめている夫には、何を話しても無駄で……。
大切なことを忘れている夫
夫と一緒にいるのは、もう無理……。
やっと決心した私は、家を出ました。夫は姿の見えない私を探し、怒って電話をしてきましたが、まさか私が永遠の別れを決意しているとはつゆも思わなかったようです。
「自分の立場わかってんのか?」
「嫁に来たんだから夫に従うのは当然だろ」
それでも出ていくというのなら、慰謝料を請求するだなんて突拍子もないことを抜かしますが、私には慰謝料を請求されるようなことは何一つ身に覚えがありません。
「あんたこそ自分の立場わかってる?」
私は、寝ぼけている夫に教えてあげました。「私たちは事実婚だったことを忘れたの?」と。
実は、私たちは事実婚を選択していたのです。そのため法的には独身で、2人で組んだローンもなければ、子どももいません。別れることは簡単。いつか結婚しようねと約束して婚姻届に記入はしましたが、あくまでも将来のことを考えての記入で、提出はしていません。
そもそも夫は、事実婚がどういうものかもわかっていなかったのでしょう。届を記入したことで、余計にわからなくなってしまったのかもしれません。そうとはいえ、私たちが法的に認められた夫婦ではないということはわかっていたはず……。
事実婚を選択した理由は…
「事実婚を選んだのはなんでだっけ」と言いだす夫。その理由さえも忘れていたなんて驚きです。夫は仕事が長続きせず、何度も転職を繰り返していて、今もアルバイトで、収入も低く安定しません。そのため私は、入籍するための条件を提示していました。それは、仕事を安定させて毎月きちんと収入を得ることです。
それに、私の両親が結婚を認めなかったことも影響しています。私の実家は古くからある名家で、それなりの相手でないと結婚は認めてもらえませんでした。それでも一緒にいようと、いつか認めてもらおうと決めたのに、夫は努力するどころか私を奴隷扱い。そんな人とは、もう一緒にはいられません。
夫は事実婚の理由を思い出したようで、今までのことを謝り、やり直したいと言ってきます。プロポーズにも似た告白めいたことまで言いますが、入籍の条件も私の気持ちも変わりません。
これまで、夫の3倍ほど稼いでいた私が家計を支えていたので、私と別れれば一文無しになったも同然。今までの生活とはかけ離れた生活を送ることになるでしょう。その状況を恐れて謝罪の言葉を並べるような夫が、改心するとも思えず……。
変わろうと努力する姿勢の大切さ
それにしても、夫があれほどまでひどい態度を取っていたのはなぜでしょう。よくよく話を聞いたところ、収入の高い私への劣等感から、自分をえらく見せようと虚勢を張っていたとのこと。そうであれば、まずは仕事を続ける、収入を上げる努力することが先だったはずです。
しかし、それができない夫は、要するに甘ったれの根性なし。現状に不満があっても面倒がって努力して変えることはしない。私と別れることで変わる努力ができるようになればいいなとは思いますが、私がその支えになろうとは思えません。
あれから何度も連絡をしてきて、考え直してくれと言ってくる夫。家賃が支払えず、しかし引っ越しの費用もなく、私にすがるしか方法が見つからない様子です。私がいなくなって初めて自分の立場を理解したようです。
私の心が夫から完全に離れ、もとに戻ることはないと諦めると、今度こそ幸せにするからお金を貸してくれと……。
人を幸せにする覚悟がある人の言葉とは思えません。誰かに頼る以外の方法で自分でどうにかする術を、努力をしてほしいです。私は夫から解放されて久しぶりに自分のことだけに時間も労力も費やせるようになったので、これまで以上に仕事に力を入れ、1人の生活を謳歌しています。
夫婦間に限らず、自分の至らない点を見直すことは大切なことです。変わるということは簡単なことではありませんが、そのために努力する姿勢が見えるか見えないかで周りからの信頼や評価は異なるのではないでしょうか。大切な人と一緒にいるためや、結婚を認めてもらうためであれば、なおさら誠意の伴った行動をしたいものですね。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。