大人・子ども関係なく「出したモノを元に戻す」というのはお片づけの基本中の基本です。しかし、これを苦手としている人ってじつは結構多いですよね。昔から「整理整頓しなさい!」と家でも学校でも言われ続けていたけど、どうやって片付けるのかは誰も教えてくれませんでした。仕方ないから自己流でなんとなく済ませ、後日何がどこにいったか分からなくなり、結局全部ひっくり返して前より悲惨な状態になってしまう…。そんな経験、ありませんか?
そうならないためには、ママがお片づけを誘導して、子どもに“整理整頓”の楽しさを知ってもらうことが大事だといいます。今回、収育指導士であり整理収納アドバイザーの池田さんのご家族にご協力いただき、ご自身のお子さんに行っている方法について教えてもらいました。
『収育(R)』とは?
“子どもは遊びが仕事だ”と私たちの親世代はよく言ったもので、子どもたちは遊びや暮らしを通して、徐々に協調性や芸術性、理解力、自立心などを育てていきます。また、遊んだあとの「お片づけ」という行為も子どもの発育に大きく影響するのだそうです。
今回ご紹介する“収納×育児”の考えは『収育(R)』の教育方法に基づいています。『収育(R)』とは、(一社)日本収納検定協会が考案した「収納+育児・教育・育成」を組み合わせた造語で、「出したモノを元に戻す」「色や形で分ける」「大きい順にしまう」などの行為を親子一緒に遊び感覚で実践することにより、モノを大切にする心や考える力を身につけ、自立へと導く教育方法です。
“うちの子にはまだ早い”と思う方もいるかもしれませんが、大人の持ち物の整理整頓にも役立つので、知っておいて損はないと思いますよ。
モノが帰る場所を“バミリ”で示す
まずは、子どもが簡単にモノをしまえる環境づくりをします。よくテレビのスタジオやコンサートのステージの床にT字形や四角形のカラーテープが貼られていますよね。あれは人の立ち位置や機材の置き場所を示すための印=バミリ と呼ばれるもので、その場から移動しても同じ位置に戻ることができる、単純だけどスマートなアイデアです。池田さんは、その“バミリ”のアイデアをお片づけに取り入れています。
用途は本物のバミリと同じく、出したモノがどこに戻るべきか示してあげるためのものです。さらに平仮名でラベルを貼っておけば、幼稚園児くらいの年齢であれば問題なくラベルに書かれたモノをその場所にしまうことができます。上手にお片づけできたら、思いきり褒めてあげることを忘れずに!
収納ケースにも遊び心を
このアイスのおもちゃを入れた箱は100均でゲットしたものです。このフタの裏側に、購入時の箱に描かれていたアイスのメニュー表を切って貼りつけたところ、以前よりもこれでよく遊び、ちゃんとしまうようになったのだとか。“この箱はアイスの箱”と分かりやすく示してあげたのがよかったようです。たまーに違う種類のおもちゃが入り込んでしまうそうですが、そこはご愛嬌。
このケースには、手紙を書くときに必要なものがすべて集約されています。これは“グルーピング”という収納テクニックにも当てはまりますね。この場合のポイントは「使いやすさと見た目」です。キャラクターのミニファイルをフタに貼りつけていて、見た目にも可愛く、シールなどの細かいものが発生しても、ちゃんとしまえる場所がつくられています。このように、細かいものが散らからない工夫や、必要なものをいちいち別々の場所から取り出さなくてもいいという状況を先回りしてママがつくってあげることが大事だそうです。
収育(R)では“子供たちが自発的にお片づけに取り組むには「楽しさ」がなにより重要”といわれています。「お片づけ=嫌なこと」ではなく「お片づけ=楽しいこと」と認識してもらえるように、まずはご自宅でゲーム感覚で始めてみてはいかがでしょうか。もちろん、お片づけができたときは思いきり褒めてあげてくださいね!
協力:収育指導士・整理収納アドバイザー1級 池田なつき
2児の子育てをしながら整理収納アドバイザーの資格と収育指導士の資格を取得し、少し手をくわえるだけで簡単にできる収納術をテーマに収納アドバイザーとして活動中。