以前、私たち夫婦の家の合鍵を勝手に作り、私たちが留守の間に我が家に入り浸っていた前科のある妹。だからこそ、今回は妹に知られないように引っ越したのですが、妹は母から聞き出したようです。
そして、案の定「私もタワマンに住みたい!」とわがままを言い出して……?
タワマンと彼をちょーだい♡
「しかも、お姉ちゃんの旦那さん、年収1億なんでしょ……?」「仕事やめて本格的に投資家になったらしいじゃない!」と妹。
こちらもきっと母から聞き出したのでしょう。仕事で専業の投資家になって1カ月。夫は思うような結果を出せていないようですが、「投資ってのは長い目で見るものなんだ」「投資をやったこともないやつは黙ってろ」と言われて、私はうんざりしていました。
「そんなに稼いでないわよ……」「勝手に噂がひとり歩きしているだけだから」と言っても、妹は「お姉ちゃんったら嘘が下手ね!」「火のないところに煙は立たないんだよ~」と聞いてくれません。
「1億まではいかなくても、軽く数千万くらいは稼いでるんでしょ?」「稼げば稼ぐほど投資に回せるから、どんどん利益も上がっていくはず……」と妹。そして、続く妹の発言に、私は耳を疑いました。
「こうしちゃいられないわ、今すぐお姉ちゃんから旦那さんを奪わなくっちゃ!」
略奪成功!
妹の略奪宣言から1週間後――。
「年収1億の旦那さんを貰っちゃってごめんね♡」
「お姉ちゃんはタワマンから早く出て行ってねw」
「わぁ…お幸せに!」
「もっと悔しがってよw」
妹曰く、夫は私との結婚生活にうんざりしていたそう。「投資に理解がない」「俺は1億稼げる才能があるのに信じてくれなくて悲しい」「旦那を信用しない嫁は俺には必要ない」などと言っていたらしいのです。
「かわいそうな彼を慰めてあげたら、すぐに離婚するから俺と結婚してくれってプロポーズされたの!」と妹。「お姉ちゃんは二度とタワマンからの景色を拝めないのよね……」と嘲ってきます。
そこで、「そんなことないよ」「これぐらいのところに住めるくらいの稼ぎはあるから……」と言うと、妹は「えっ!?」と驚きの声を上げました。
「むしろ、馬鹿な男をもらってくれてありがとうね」「年収1億稼いだって周りに見せてる画面は、投資のデモアプリだし……」
「えっ!?」と再び驚いた声を上げた妹。「待って!お願い!詳しく説明して!」という妹に、「1億稼いでないし、むしろ借金しそうな勢いよ」「デモアプリでうまくいったのが自信になったみたいで、私に相談もなく仕事を辞めて、貯金全額FXにぶち込んだのよ……」と告げました。
「で、でもこのタワマンだって彼の名義で契約したんでしょ!?」と言う妹に、「敷金礼金と、家賃1カ月分でもうすっからかんよ」「『投資はとにかく精神力』『余裕のある部屋でこそ、冷静な判断ができる』とか言って、タワマンも勝手に借りてきたの」と真実を告げました。
夫を略奪した妹が直面した悲惨な現実
夫は私に無断で離婚届を出していました。以前喧嘩したときにお互いにサイン済みだったのです。しかし、私も離婚を拒否するつもりはないので、そのままに。ただし、慰謝料を請求するとは告げました。
妹は元夫と結局入籍。けれども1週間も経たないうちに音を上げて、私に連絡してきました。
「全部お姉ちゃんの言う通りだった……こんな人いらない。お姉ちゃんに返してあげるわ」「ここのタワマン、めちゃくちゃ眺めがいいし、お姉ちゃんもそろそろ恋しくなってきたんじゃない?お父さんとお母さんを招待するくらいだし……」
元夫に勝手に契約してきた部屋なので、私はとくに思い入れはありません。両親にはだいぶ前から元夫との離婚について相談していたのです。実家もずいぶん古くなってきたし、離婚のタイミングで新しくマンションを購入して同居しないかという話もそのタイミングで持ちあがっていました。その検討の材料とするために、両親にあのタワマンの部屋を見せたのです。
「実家がなくなるなんて聞いてない……」「私もお姉ちゃんたちと一緒に暮らしたい!」と言い出した妹。でも、私も両親も、今後一切妹と関わるつもりはありません。まともに働かずに姉の夫を略奪するような妹を、ついに親も見限ったのです。
「どんなマンションに住むの!?」と聞いてくる妹に、住所は教えないと前置きして、だいたいの家賃を教えました。「そんなところに住めるなんて……お姉ちゃんってそんなに稼いでるの!?」と驚く妹。「あなたと違って真面目にコツコツ働いてきた結果がこれよ」と言うと、妹は黙り込んでしまいました。
その後――。
私と両親は実家を売り払い、新居のマンションに引っ越し。郊外のマンションにしたため、例のタワマンと同じくらいの家賃で2倍くらいの広さのある部屋に住むことができるようになりました。
妹からは「彼がマイナス2000万の大赤字を出した!」「タワマンの家賃も払えない!追い出されちゃう!」とときどき連絡が来ます。私の夫を奪おうとする妹ともう連絡を取りたくなかった私は、連絡先をブロックすることに。
離婚後も私は仕事で忙しい日々を送っています。けれど、嫌なことを思い出さなくてすむので今の私には忙しいぐらいがちょうどいいです。それに両親との久々の同居はやっぱり良いものだと感じているので、今はこの、3人での生活を思い切り堪能したいと思います。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。