40代からでもメリットはある?
虫歯や認知症などの予防につながる
近年、40代以降で歯列矯正を受ける人は増えているのだそう。その理由はどうしてなのでしょうか?
「矯正患者さんは昔から10代や20代前後の方が多いのですが、最近では30代の方も多く、50代60代の方でも歯列矯正を受けていらっしゃる方がいらっしゃいます。
実際に歯列矯正を受けている患者さんの5%が高齢者だというデータもあります。また、インターネットの普及で、歯列矯正が子どもの受ける治療から大人でも受ける治療という認知が広まってきたことも関係していると思います。
40代以降でもほとんどの人が見た目を変えたいという理由で始めますが、年齢が上がるほど「かみ合わせが気になるから歯列矯正をしたい」という人の割合は増える傾向にあります。
いずれにしても、歯列矯正で歯並びやかみ合わせを改善することで、歯磨きがしやすくなるので虫歯や歯周病の予防ができます。
また、かみ合わせが良くなることで脳に刺激が与えられるので記憶障害、物忘れなどの加齢によって低下しやすい能力を改善することにもつながります。
これは40代からでも歯列矯正を受ける大きなメリットと言えるかと思います」(古川先生)
矯正前に必要な治療
歯周病には要注意!
「これはどの年代でも同じですが、歯列矯正をおこなう前には、虫歯や歯周病の治療、矯正のための抜歯を事前におこなう必要があります。
30代以降になると歯周病のリスクは高くなります。歯周病により歯がぐらついている場合は、歯列矯正の力も加わって歯がさらに揺れ動いてしまうことがあります。
歯周病や加齢によって歯茎が下がってしまっていると、歯列矯正による歯の移動でさらに歯茎が下がってしまうことがあるので、歯周病の治療をしてから歯列矯正をおこなったほうが良いでしょう。
他にも歯の動かし方によっては親知らずなどの埋まっている歯を抜くことはあります。永久歯が埋まった状態だと、埋まっている永久歯が邪魔になり歯が動かない可能性があるので抜歯する場合もあります。
もちろん抜かなくても良いこともありますし、まれに治療の途中で抜歯をすることもあります」(古川先生)
他に歯列矯正前にしておくといいことはありますか?
「歯列矯正を始める前にX線検査をするのですが、そこでまれに歯の組織が由来の歯原性腫瘍である歯牙腫(しがしゅ)やあごの骨にできるエナメル上皮腫といったような腫瘍が見つかる方がいます。そういった腫瘍が見つかった場合は、先にそちらの治療をおこなったほうが良いでしょう。
顎関節症(がくかんせつしょう)も治療しておいたほうが良いですね。口が開かないことがあると器具の装着ができず、矯正治療ができないこともあるので、それも先に治療することをおすすめします」(古川先生)
若いころとは何が違う?
矯正期間が長引くことがある
20代や30代のころと40代50代で治療に差はあるのでしょうか?
「年代というよりは、歯の状態によって違いが出てきます。
なので治療にどのくらいの期間や費用を要するのかは、どういった治療をおこなうかという治療内容によって異なってきます。
しかし、40代以降は骨代謝という骨の吸収と修復する機能が衰えてくるので歯の移動に時間がかかるということはあります。
歯槽骨という歯を支えている骨が矯正の力によって変形することで歯を動かすのが矯正です。
まったく同じ歯並びやかみ合わせのケースで比較するならば、10代や20代の人よりも年齢の高い40代以降のほうがそれ以前に比べて時間がかかる可能性が高いかもしれません」(古川先生)
まとめ
40代からでも歯列矯正を受けている人は多く、増加傾向にあるのだそう。見た目だけではなく、物忘れの防止にもなるという歯列矯正。これからの健康のために、治療を検討してみてもいいかもしれませんね。
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