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「タダ飯最高!」子ども食堂に現れた迷惑親子に仕掛けた罠!→1年後、誰もが涙する結末に…

子ども食堂でボランティアをしている私。さまざまな境遇の人たちにあたたかい食事を届けたい! と思って活動しています。

この活動をしていると、世の中にはしっかりと食事がとれていない人たちが少なくないことに気付かされます。それは子どものみならず、忙しくて疲れきった保護者、ひとり暮らしのご老人までさまざま。子ども食堂では幅広い世代の人たちが集まって、みんなで食事をしているのです。

私はこの活動が大好きなのですが、最近困った人がやってきてーー。

 

子ども食堂にやってきた迷惑親子

“困った人”とは、ある日ひょっこりやってきた60代くらいの女性です。先週引っ越してきたばかりだそうですが、子ども食堂の話を耳にし、のぞきにきたそう。

 

初めての人には、うちの子ども食堂のシステムや成り立ちを説明しているのですが、その女性はあまり話を聞かず、帰っていきました。

 

しかし別の日、またあの女性が来店。今度こそシステムを説明しようとしたところ、またしても話をさえぎられてしまいました。

 

「ここは子ども食堂なのだから、子どもがいればいいのでしょう?」 と女性。程なくして40代くらいの男性が入ってきました。その男性は、彼女の息子だそう。とても繊細で、外で働くこともままならないのだと紹介されました。

 

やっとシステムの説明にこぎつけたものの、彼女たちは退屈そうな顔をしてあくびの連続。ついにはスマホでゲームを始めてしまうなど、まったく話を聞いてくれません。挙げ句、おなかが空いたから早くごはんを持ってきてくれと言い出し、テーブルをトントンとたたいて催促してきたのです。

 

システムについては壁に貼り紙があるので、食事をするなら必ず目を通すように伝え、私は配膳に取りかかりました。

 

「タダ飯最高!」

しかしこの親子は食事が出てくるなりガツガツ食べ始め、「タダ飯最高!」とご満悦! 貼り紙に書かれたシステムを読んでくれたのか、疑問です。結局、スタッフがバタバタしている間に、空になったお皿もそのままに、こつ然と消えたのでした。

 

あの親子の行動に悪質性の高さを感じた私たち食堂スタッフでしたが、何か事情があるのかもしれません。しばらく様子を見ることにしました。

 

しかし案の定彼らは、子ども食堂の開催日には必ず食堂を訪れて爆食い! そして、スタッフの目を盗んで退店という失礼すぎるおこないを繰り返します。

 

そこで、私たちはとある作戦を立てました。それはイライラする気持ちを抑えながら、ひたすら笑顔で食事を提供しつづけるというもの。おかわりを要求されれば、嫌な顔ひとつせずにその通りに提供しました。

迷惑親子を1年見守った結果…

そして1年後。その日は絶対に2人を勝手に帰さないと決めています。しっかりと足止めし、請求書を渡しました。

 

私たちに声をかけられて焦った親子は、請求書を渡されてさらにびっくり。そこに書かれた金額は、数十万円という大金です。

 

私たちの子ども食堂は、すべてタダというわけではありません。お客様の置かれている立場に合わせた価格設定をしており、大人であるあの2人が無料で食事をするにはメンバー登録が必要です。しかしそれをスルーしたまま食事をしていたので、支援金を含めたビジター価格を支払って貰わなければなりません。

 

もちろんこのシステムは初回にしっかり説明しています。右から左に聞き流したのは彼ら自身なので、自業自得でしょう。

 

この1年、私たちはこの親子についていろいろと調べてきました。その結果、この息子は事情があって働けないわけではなく、働かずにただギャンブルに狂っていただけだと判明。「一生働かずにごはんが食べられる方法を見つけた」と、子ども食堂のことを話しているのを聞いた人もいます。

 

迷惑親子に制裁を!

真っ青な顔で「こんな大金は支払えない」とオロオロし出した親子に、わが子ども食堂のボスは、子ども食堂でボランティアをすることを提案しました。その結果、息子は大卒の学歴を生かして子どもたちに勉強を教え、その母親はやってくる高齢者の話し相手として働くことになりました。

 

 

その後、この親子は食堂の人気者になりました。息子は思った以上に勉強を教えるのが上手く、母親はおしゃべりじょうずだったのです。

 

わが子ども食堂は、前にも増して笑いの絶えない場所となりました。2人にお礼を言うと、自分たちの悪行を悔いたよう。そんな2人に対してボスは「この食堂は、経済的に困っている人たちが利用するだけの場所ではありません。心に困難を抱えた人たちも、それを癒やしに来てほしいと思っています」と言い、彼らを許しました。

 

現に、2人とも最初に来たときとは別人です。私はボスの懐の深さに感動し、これからもずっと一緒に活動したいと心に決めたのでした。

 

2人がボランティアを始めてから、1年以上が過ぎ、とっくに食事代以上の働きをしてくれていますが、彼らは今でもボランティアを続けてくれています。ここにくるみんなが、今日も笑顔でごはんが食べられますように……。そう願いながら、私も日々頑張っています。

 

 

ルールを無視する親子の行動は、関わる人を不快な気持ちにさせたことでしょう。それなのに、ただ非難するのではなく受け入れたボスには驚きしかありません。

 

困っている人を助けることの難しさや、人のあたたかさが持つ力を改めて感じさせられますね。

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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