頑張った娘のために
いよいよやって来た娘の誕生日。私は夫に、「例のケーキ買えたよ!」と帰りがけの電車内からメッセージを入れました。もちろん夫も、娘が1年頑張ってきたことを知っています。
「この1年間のあの子の努力を評価しなくちゃね」と送信すると、「俺の子なら親の手伝いをして勉強も頑張るなんて当然だ。あいつも今後は褒美がなくてもできるようにしなきゃな」と言います。
「まあそれはいずれね」と返信した私。起業したばかりで自分に自信がある夫は子育てにも厳しいのです。義父や義兄は大会社の経営者という家系。娘にも期待しているのかもしれませんが、その言い方には少し難が……。
ともかく私は、いったん家に寄ってケーキを冷蔵庫にしまい、そのほかの料理のための買い出しに繰り出しました。
あれ、ない!
買い出しから帰宅すると、なぜか冷蔵庫の中のケーキが見当たりません。私はすぐ、義実家に用があるといって入れ違いで出ていった夫に尋ねました。
「あの子の誕生日ケーキがないんだけど知らない?」
「めいっ子に譲ったよ!」
「食べたいって言うからさ」
「パパ最低、大っきらい」
すると、驚きの返信があったのです。すぐに問い詰めると、義実家への手土産にしたというのです。「ケーキなんて他のでも同じだろ。でなきゃ来年まで我慢するんだな」と悪びれてもいません。
「あれはうちの娘のだよ? この1年あのケーキのためにどんなに努力したか……」。私が絶句していると、娘が私のスマホを奪い、黙ってメッセージを打ちました。
知ってるもん!
「何だと? 今からすぐ帰って親への口のきき方をたたき込んでやる!」と逆ギレして息巻く夫の言葉を無視して、私たちは義実家へ。夫とはここでもまた入れ違いになりました。
義実家では、食べ散らかされたケーキを見て娘が泣き出し、ことのてん末を話す展開に。義両親も義兄もめいっ子まで皆、娘の味方になり、知らずに食べてしまったことを謝ってくれました。
というのも、娘が「パパはいつも私よりおじちゃんの子ばっかり。おじちゃんやおじいちゃんの機嫌を取ってお金をもらうんだって」と暴露したから。どうやら夫は、義父や義兄から資金援助をもらうべくゴマすりをしていたようなのです。
昔から自己中で猪突猛進、他者への配慮に欠けることが多かった夫。今回の件で、娘へのしつけも度が過ぎていたことをようやく理解し、逆ギレしたことも反省してくれた様子。
義父も義兄も、1年間頑張ったまだ8歳の娘を褒めたたえ、これからは親戚一同で夫の言動を見張りつつ、夫にも出資をしてくれることに。娘の健やかな成長のための支援だそうです。私も妻として母として、しっかりと家庭を守っていきたいと思います。
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8歳の子が一生懸命頑張って楽しみにしていたケーキを、いとも簡単に他の子にあげてしまうとは……。これは娘が怒るのも当然ですよね。夫も心を入れ替えて、これからは娘のために誠実な父親になってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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