高校時代、とある理由で引きこもり、卒業式にすら出られなかった私。知り合いが誰一人としていない大学に進み、そこで外見も内面も磨き続けました。大学卒業後、社長である夫に見初められて、今は夫を支える日々を送っています。
「お披露目パーティーには、ぜひ奥様もご一緒にって言われてるんだ」「明日は仕事も早く終わるし、パーティードレスを買いがてらデートしよう!」とウキウキの夫。
私は夫ににこやかにうなずきながらも、悪夢のような高校時代を思い出していました……。
高校時代の略奪された記憶
「あんた、なに学校休んでんの?」「彼氏奪われたくらいで引き込もりとか、ウケるんだけど」「ブスの分際で彼氏なんか作って調子に乗ってるあんたが悪いんだからね!」
そう言ってきたのは、私の彼氏を奪った張本人である同級生。
「私は綺麗なものとかわいいものが好きで、あんたみたいな醜いブスなんて大嫌いだから!」「ただの引き立て役に彼氏ができるってめちゃくちゃ腹立たしいわ」
私はその同級生のことを、美人で明るくていい友だちだと思っていました。しかし、その同級生にとっては私はただの引き立て役。さんざん「ブス」と罵られて、私の心はぼろぼろになってしまったのです。
そしてそのまま、私は高校へは行けなくなってしまいました。
高校の同級生に私の正体を伝えると…
お披露目パーティー当日――。
パーティー会場に着いて早々、高校の同級生がいることがわかり、気分が悪くなってしまった私。夫を残し、タクシーで先に帰宅しました。帰宅して水を飲み、ほっとしていると、見知らぬ番号から着信が。
「奥様!体調、大丈夫ですか……?体調不良で帰られたとか……」と、私のことを気遣う女性の声。「すみません、どちらさまでしょうか?」と尋ねると、本日の主役、取引先の社長の婚約者の女性でした。
「私たち、同じ高校出身でたぶん同学年ですよね!」「奥様とお話したくて今日を楽しみにしてたので、すぐに帰られてしまってとても残念で……」と言う彼女に、「そうですね。私はあなたのことはよく覚えていますよ」と返した私。名前と声にピンと来ていたのです。
すると、その女性は「え!?まさか同じクラスとか!?」「高校時代はそんなに目立たなかった系とか?卒業してから大変身したんですね!」「私も磨き続けなきゃ!」と大興奮。
そして、「まぁ、磨いても意味のない子っていますよね」「高校のとき、私のクラスに何のとりえもないブスな子がいて……」「なのに調子に乗って彼氏なんか作るから、気にいらなくって奪っちゃったことあります」と続けたのです。
私がため息をつくと、彼女は慌てて「って奥様には関係ない話ですよね!」「若気の至りってやつです」と取り繕いました。さらに、「それにしても、会場でお見かけしたんですが、奥様美人すぎ~!」「これからランチとか一緒に行きましょうよ!」と言ってきました。
私は再びため息。すると、彼女は「まさか、私が奥様のことを思い出してあげられないから……?」とさらに大慌て。
「高校にあなたみたいな美人いたかしら……」
「とにかく社長夫人同士、私たち、親友になりましょ♡」
「高校時代、私のことブスって散々いじめたくせに?」
「え?」
私は旧姓を彼女に告げました。すると、彼女は「う、嘘……絶対嘘でしょ!?」「あんなブスがどうやってこんな美人になるのよ!」と驚愕していました。
そう、取引先の若社長の婚約者は、高校時代に私から彼氏を略奪した同級生だったのです。
同級生の末路
しばらくして、私のために飲み物やゼリーを買って帰ってきてくれた夫。自分の過去と同級生との再会、そして今しがたの同級生との会話を話すと、「大丈夫……?」と気遣ってくれました。
そして、「そういう嫌なつながりは絶っておいたほうがいいな……」「今後の取引も考え直そう」と言ったので、私は慌てて「私の過去と仕事は別の話だから、気にしないで」と言いました。
しかし、「気にしないで」と言う夫。代替わりした若社長は悪評だらけ。とくに女遊びが激しいらしく、今日連れてきた婚約者もただの遊び相手の一人だと言って回っていたのだそう。ちなみに、5人くらい彼女がいて、全員に婚約指輪を渡してキープしているんだとか……。
ビジネスの話は全然せずに、女性の口説き方など下世話な話ばかりで夫は信用ならないと感じていたそうです。「取引をやめる理由が増えて助かるよ」と言った夫は経営者の顔をしていました。
その後――。
私も夫もいなくなったパーティー会場で、私の悪口を言いふらしていた同級生。しかし、私が今まで取引先や同業他社、そして社長夫人の皆さんといい関係を築いてきた私。会場にいた人たちは同級生の言葉を鵜呑みにはせず、また同級生のことを快くおもわなかったようです。会場にいた方の一人が「あの人ヤバイですね……」と私にそっと教えてくれました。
さらに、「自称婚約者のくせに……」と言われて激昂した同級生は、その場で若社長に結婚を迫ったそう。パーティー会場は修羅場と化し、多くの企業が若社長との取引を考え直したのだとか。
同級生はあっさり若社長に捨てられてしまったようですが、散々周囲に自慢していた同級生をフォローする人は1人もいなかったそう。まさに因果応報。やはり過去に悪いおこないをした人には、悪い報いがあるのかもしれません。同級生を見て、改めて私は良いおこないをして、よい報いが得られるよう努力していこうと心に誓いました。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。