家からいろいろな物を持ち出して消えた夫。慌てて連絡すると、「家のポストに離婚届を入れてあるから、サインして提出してくれ」「今までありがとう、さようなら」との返事が。
どうやら夫は私のほかに想っている相手がいるようで……?
消えた夫の言い分
急にわが家から物を持ち出したうえに、離婚を切り出してきた夫。私は納得がいかず、そのまま夫を問い詰めました。
すると、夫は「もうお前とは夫婦ではいられないんだよ」「俺はあの子と一緒になるから」と浮気宣言。しかも、相手は私の幼馴染だと言うのです!
「お前とあっちの旦那に黙って付き合い続けることも、違う人間と夫婦でいることも、何もかも苦しかったんだ」「俺たちは出会う順番を間違えただけ」「だからもう解放してくれ!」
浮気したにもかかわらず、自分がまるで悲劇の主人公にでもなったかのような言葉を繰り返す夫。詳しく聞いてみると、1年前におこなったわが家のホームパーティーで意気投合した夫と幼馴染はその場で連絡先を交換。ホームパーティーを繰り返すうちに、お互いへの気持ちに気付いたそうです。
「俺も彼女も新居に荷物を運び入れて、新たな生活を始めるんだ」「これからは自分の気持ちに正直に生きていくよ」と、どこまでも自分勝手な発言ばかりの夫。
夫が持ち出した物の中には、私が買ってとても気に入っていた調理家電や家具もありました。
「俺に未練があるのはわかるけど、俺のほうはもうお前と話すことはないんだ」と言う夫に、私は呆れ果ててしまいました。
「もうこの際、離婚は受け入れるわ」「ただ、自分の思い通りにことが進むとは思わないでね」とだけ言って、私はやり取りを終わらせました。
持つべきものは幼馴染
翌日――。
昨日のことであまり眠れなかった私のもとに、今度は例の幼馴染から連絡が来ました。
「引っ越しの荷ほどきって大変~」「うちの夫はあっさり離婚を承諾してくれたけど、あんたはまだ渋ってるの?」「私と彼は運命的な出会いなんだから、引き裂こうだなんて思わないことね!」と、勝ち誇ったように言う幼馴染。
「エリート商社マンの旦那様は幼馴染の私が奪ってごめんねw」
「あんたが呼んでくれたホームパーティで旦那様と意気投合しちゃったの♡」
「旦那は無職だけど…」
「え?」
昨日の今日で、離婚届を出すことに抵抗があった私。しかし、まったく悪びれる様子もない幼馴染のおかげで、私も夫と離婚する決意が固まりました。
「負け惜しみね!」と高笑いする幼馴染との電話を早々に切り上げて、私は記入済みの離婚届を提出しに役所へ向かいました。
運命的な出会いの末路
1カ月後――。
「ちょっと!あんたのせいで家賃が払えなくなったって彼が言ってるんだけど!」と幼馴染から怒りの連絡が。
元夫の手元には、もうほとんどお金は残っていないのでしょう。
「無職の元夫には家賃なんか払えないもんね」と返すと、「無職じゃないわよ!」「彼はエリート商社マンで高給取りなんだから!」と憤る幼馴染。
たしかに、結婚当初、元夫はエリート商社に勤めていました。しかし、1年前にリストラにあったのです。浮気のきっかけにもなってしまったホームパーティーは、リストラされたばかりの元夫を元気づけるために開いたものだったのです。
「そんな……でも、あんたのとこ、いつも良い生活してたじゃない!」と言う幼馴染。
「そりゃ、私が会社を経営してるからね」「あなたには言ってなかったけど、2年前に起業して、そこそこ順調にやってるの」
私が社長であることを知らなかった幼馴染は絶句していました。
「そういえば、引っ越す前に元夫が私の通帳から100万おろして持っていったみたい」「慰謝料と一緒に、その100万の返済と、持って行った家具家電のお金も請求するからね」「もちろん弁護士を立てて」
「そんな……家賃すら払えないのに……」「お願いだから支払いは待って!」と幼馴染。浮気されて慰謝料を請求する権利があるからと主張すると、「もう離婚して1カ月も経ってるじゃない!」と散々わめいていましたが、浮気した2人の都合なんて知ったこっちゃありません。
その後――。
お金が底を尽きた元夫は、「彼女との結婚は間違いだった」「本当の運命の相手はお前だったんだ」と私に復縁を求めてきました。しかし、私にはヨリを戻す気なんてさらさらありません。
弁護士さんに経緯を伝えて、慰謝料と持ち出した家具家電分、そして勝手に通帳からおろされた100万円を請求しました。一括では払えないとのことで、毎月決まった額を振り込んでもらう形になりましたが、とりあえず収束したのでほっと一息ついているところです。
元夫と暮らした家は広すぎるので、私は別の単身向けマンションへ引っ越しました。家具や家電も一新したので、新たな気持ちで仕事に励むことができそうです。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。