過剰な経費削減!
ダメ上司は元上司と同期で、なぜか彼女をライバル視している様子。私の仕事ぶりを見ていると彼女を想起するようで、私のする仕事をただ気に入らないと言っては怒ります。
1番納得できないのは、経費のこと。備品がなくなると私たちに補充するよう指示するのですが、その費用は一切経費で落としてもらえません。経費を削るように上から言われているのでしょうが「家に余っているのを持ってきて」と言ったり、「みんな自分で買っている」などと言われたりするので、みんな仕方なく自前で備品を用意しています。
ツイていないときは、悪いことが続くものです。その日、私の乗る営業車がパンク! 車検ギリギリのタイヤだったので、修理はできそうもありません。上司に報告すると、タイヤを購入し領収書をもらっておくように指示がありました。
しかし後日領収書を出すと、私のミスだから経費では落ちないと言われてしまいました。とうとうブチ切れた私は、退職を決意したのです。
立つ鳥跡を濁さず
立ち去るときは、後始末をきちんとしていくべき! そう思った私は、しっかりと片付けをして会社を去りました。
しかし退社した翌日、上司から電話が入りました。とにかく会社に来いという上司。用件を聞いても話してくれません。もう辞めたのだから用はないと思いつつも、書類のことなど、本当に出社が必要であれば会社に迷惑をかけてしまいます。渋々昨日別れを告げたばかりの会社に出向きました。
駐車場に着くと、そこには上司が待ち構えていました。促されるまま社用車の駐車場に行くと、そこにはタイヤがなくなった社用車が……。おかげで今日予定していた商談に間に合わなかったそうです。
もちろんタイヤを外したのは私です。経費で落としてもらえず仕方なく自腹で払ったタイヤなので、これは私の私物。私物を残して退職するなんて、そんな迷惑なことはできません。そう説明しておきました。
ちなみに、私が自分で買ったUSBや文房具もすべて片付けています。USBには今上司がすすめているプロジェクトの企画書が入っていたかもしれませんが、しっかり初期化して持ち帰りました。私のお金で買ったものなので、持ち帰らねばなりません。
ダメ上司の末路
今回のことは社内で大問題になりました。まさかタイヤのような高価なものまで地腹を切らせていたとは、社長も本当に驚いたようです。
上司の過剰すぎる経費削減に、社長をはじめ薄々気付いていた人もいたようですが、確固たる証拠がなかったため、動けなかったと聞きました。
私にはタイヤの領収書やタイヤの取り付けをした記録、そして万が一のときの切り札である録音データがあります。タイヤの費用を拒否されたとき、私は密かにスマホで音声を録音しておいたのです。
証拠を手にし、堂々と解雇できると息巻く社長に、ダメ上司は平謝り。心を入れ替えると言ったものの、社長は断固拒否しました。結局彼女は解雇になり、私たち負担していた費用はしっかりと支払われたのでした。
後日、ダメ上司の後任として尊敬していた元上司が戻ってきました。私の退職届も取り消されて、職場復帰することになったのです。
会社内でも、必要以上に経費の削減は求めないようお達しがあったとのこと。しかしこれからも無駄があったら追求されるのは尊敬する上司です。そのためにも、しっかり節約を心がけようと誓ったのでした。
物価高の昨今、経費の削減が叫ばれる会社は少なくありません。しかし必要なものはしっかり用意しないと仕事になりませんよね。
また、不正は見過ごされれば見過ごされるほどエスカレートし、周囲に悪影響を及ぼすもの。だからこそ、勇気を出したり行動したりすることが必要ですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。