突然の裏切り
ある朝突然、出社をすると私のデスクが撤去されていました。驚いて共同経営の親友に尋ねると……。
「この会社にはもうあんたの居場所はない。そこは今日から私を慕ってくれる部下の席だから」と言うのです。会社の設立時から頑張ってきた仲なのに、突然の強引な態度に私はビックリ。
「最初からあんたは踏み台だったのよ。会社が軌道に乗ったら追い出すつもりだった。それに最近、経費を節約しろだの社員には残業させるなだの、いろいろ姑みたいでうるさくて。早めに切り捨てることにしたわ」とふんぞり返っています。
法律上、勝手に共同経営者である私を解雇などできるはずもありません。しかし、共同出資分は返済するからさっさと出ていけと豪語する彼女を前に、もうこの人と一緒に仕事はできないと悟りました。
私は、「そう……。でも、社員のことは大事にしてあげて。会社にとって大事な人材なんだから」と、うなずくしかなかったのです。
ショックの中で…
親友の裏切り行為に、大ショックを受けた私。帰宅後、娘に連絡をしました。話を聞いてもらいたかったのですが、彼女は経済新聞の敏腕記者をしていて多忙なため、メッセージを送信することに。
「親友に会社を取られちゃった」
「もうおしまいよ…」
「大丈夫だよママ!」
「その会社潰れるから♡」
「私なりに会社のために一生懸命やってきたけれど、彼女は軌道に乗ったら私を追い出すつもりだったって。最初から利用されていたの。友情もやりがいもなくなって、これからどうしよう……」と失意と不安に駆られていると、娘からすぐに返信が!
「潰れる? どういうこと?」と尋ねた私に、娘はニッコリマークで返してきたのです。
「私の予感は必ず当たるよ。まあ、予感って言うか、データに基づいた予測だけどね♪ ママは新しい道を進めばいいよ。経営者としてこれまで会社を引っ張ってきたのはママなんだから」
「予感」通りの展開に
1カ月ほどが過ぎ……。元・親友から「お願い、助けて!」というメッセージが届いたのです。というのも彼女の大口取引先が破産し、会社経営が大危機に陥ったから。業界情報に精通している娘が言った通りになったのです。おまけに、古参の優秀な社員たちは「生意気だ」と全員解雇してしまい、彼女にこびへつらう能力のない部下ばかりを残した結果、再建計画もまともに立てられないようです。
「実は私、あれから自分の会社を興したの。あなたがクビにした、本当に仕事ができる社員たちに来てもらってね。皆、喜んでついて来てくれた。あなたはあなたの道を選んだんだから、最後まで責任を取りなさいよ」
その後、彼女の会社は倒産し、残った社員への未払いの給料返済など、巨額の借金を抱えたそうです。一方の私は、協力してくれる社員たちと新会社を成長させるべく、日々奮闘中。人を信用し過ぎない、という教訓も胸に刻みました。この経験を糧に、今後も頑張っていきたいと思います。
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裏切り者には、それ相応の報いがありましたね。危機管理力、人間関係の構築力など、経営者としてビジネスに必要な能力はさまざまありますが、一番重要なのは「誰を信用するか」を見極める能力なのかもしれませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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