痛みで動けない!声をかけてくれたのは…
私が大学生のときのお話です。その日は生理中で、生理痛で腹部に少し痛みを感じていましたが、ナプキンのストックがなかったため、買い物へ出かけました。
目当てのものを購入し帰ろうとすると、生理痛が急にひどくなり……。動けないほどの痛みに襲われてしまいました。近くに座れそうな場所はないかと見まわしましたが見当たらず、立ったまま痛みをやり過ごすことに。
明らかに様子がおかしい私を、道行く人がちらちら見ていましたが、ただ通り過ぎていくばかり。そんなときです。
「大丈夫ですか?」
やさしく声をかけてくださったのは、見知らぬ30歳くらいの男性でした。「生理痛がひどくて」と正直に言うのがなんとなく恥ずかしかった私は、とっさに「大丈夫です」と返事。
しかし、男性はきょろきょろと辺りを見渡して「少し歩いた先にベンチがあります。歩けますか?」と教えてくれたのです。
私がうなずくと、男性は私の荷物を持ってくれ、ベンチまで案内してくれました。
5分ほどで痛みが落ち着いてきて…
それからも、その男性はベンチに座った私のそばにいてくれました。男性は「何か必要なものはありますか?」と聞いてくれましたが、これ以上何かしてもらうことが申し訳なく、私は「大丈夫です。ありがとうございます」とだけ返事をしました。そして、ベンチに座って5分経ったころ、痛みがすっと引き……。「今なら歩けそう! 帰るチャンスだ」と思った私は、男性にお礼を言い帰ろうとしました。
すると、男性は「近くまで送りますよ」と先ほどのように荷物を持ってくれたのです。
帰宅中も「そこに段差があるので、足下、気を付けてください」と言ってくださったり、車道側を歩いてくださったり。
そして、男性は私を送りながら「どうしようか迷いましたが、あまりにも顔色が真っ青だったので、声をかけてしまいました」と話してくれました。男性のやさしい気持ちに、心が温かくなりました。
あえて最後まで送らない心配り
しばらく歩いていると「家はどの辺りですか?」と聞かれたので、「もうすぐです」と答えました。すると彼は「では、ここまでにしておきますね」と荷物を返してくれたのです。
家の前まで送ってしまうと、家の場所がバレてしまう。きっと男性は私が「知らない男性に家を知られるのは嫌なのでは?」「もし嫌だったとしても言い出せないのでは?」と考えたのでしょう。
具合の悪い人に声をかけられるだけでなく、こんな配慮もできる男性に私は驚き、とてもうれしくなりました。私は「ありがとうございました」とお礼を言い帰宅。
あの男性とはあれ以来会っていません。でも、もしもう一度会えたら、しっかりお礼を言いたいです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:佐藤里桜/女性・主婦
イラスト:すうみ
監修:助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!