結婚式でのサプライズ
月日が流れたある日、同僚で友人のミカコから結婚の報告がありました。サプライズがあるから結婚式に出席してほしいとのこと。もちろん出席の返事をして、式を楽しみにしていました。
招待状は作っていないとのこと。これまで婚約者の話を聞いたこともなかったので、相手の名前も知らないまま、結婚式当日を迎えました。
豪華な結婚式場に着き、2人のウェルカムボードを見て私は固まりました。ミカコの相手は同級生のマサヤ。できればもう会いたくないと思っていた人でした。
これがミカコが言っていたサプライズ……。たしかにとてもびっくりしましたが、あまり嬉しいものではありません。
Fラン卒は参加資格なし!
ここで帰るわけにもいかず、披露宴会場に向かった私。さすがに互いにいい大人なので、なんのわだかまりもなく向き合えるかもしれません。
しかしマサヤは変わっていませんでした。
私の顔を見るとニヤッと笑い「よく恥ずかしげもなく出席できたな! 俺は一流大卒以外の参列は認めない! Fラン卒は帰れ!」と言ったのです。
披露宴会場はざわつきました。
結婚式は中止!?
夫と友人の驚きの再会になると思っていたミカコは、びっくりした顔をしていましたが、次の瞬間、怒りをあらわにして言いました。
「私も帰るわ」ブーケをマサヤに投げつけたミカコ。結婚式は取りやめにすると言って、テキパキと手配をしていました。
そんなミカコを見てマサヤはオロオロ……。あれこれ取り繕っていましたが、ミカコの怒りはおさまりません。「私の大切な友人なのに帰れだなんて……。これから私たちの家に遊びにきてもらったらまた同じこと言うの? そんなの無理だから!」
一部始終を見ていたミカコの両親も結婚取りやめに賛成し、結婚式は急きょ中止に。ゲスト一人ひとりに丁寧に謝罪をしていました。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいで、ミカコと両親に平謝り……。ミカコは「学歴で人を判断するような人とは一緒にいられない」と言って、笑って許してくれました。
学歴信者の新郎に下った天罰
その後、マサヤにはもうひとつの天罰が……。結婚式に参加していた上司がことの顛末を見ていたようで、決まっていたキャリアアップが取り消しになったそう。また、Fラン卒をバカにしたことで、社内でも孤立してしまったようです。
とはいえ、一度は結婚まで考えた人……ミカコには今でも申し訳ないという思いがあり、会うたびに謝ってしまいます。そのたびにミカコは笑って「気にしていない」と言います。そこまで謝るなら今度良い人を紹介してと言うので、食事会をセッティングする予定です。
学歴はあくまで通ってきた道のひとつ。人の優劣を決定するものではありません。そんな表面的なものばかりでなく、本質を見られる人でありたいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。