心の壁を感じて…
「おはよう! よく寝られた?」
同居スタート後、私は努めて明るく義理の娘に声をかけるようにしていました。返ってくるのは「……」という冷たい態度ばかりでしたが、思春期の彼女にとっては、いきなり赤の他人の私が家族になってすぐに受け入れるのは難しいことのはず。
心を閉ざしているのも無理もないと思った私は、焦らず時間をかけて信頼を築こうと決めました。しかし、朝のあいさつや好物のはずのだし巻き卵を入れたお弁当さえも、彼女にとっては何の価値もないようでした。
「嫌われるのも、覚悟の上で彼と結婚したんだから……。私は彼女にできるだけのことをしてあげよう」
そんな日々の始まりでした。
態度が悪化
しかし、義理の娘が今もあがめる実の母親は、裕福でセレブ志向の女性だそう。一方、私は貧しい時期を乗り越えた節約家の育ちです。それを知った彼女は私を「貧乏オバサン」とさげすみ、家事をすべて押し付け、自分は浪費ばかりするのです。
「クラスの女子に負けたくないから服買って!」「SNSに新しいバッグ投稿するの!」と次々ブランド物をおねだり。私が控えめにたしなめても、「他人のオバサンは関係ない」と拒否。もちろん夫も「そんな理由じゃお金は渡せない!」と叱るのですが、買ってもらえないとなると大暴れです。
「パパまで貧乏ったらしくなっちゃって、あんたのせいよ!」
私は彼女の暴言を我慢しながら支えていましたが、彼女の反抗は収まるどころか、家の中でわざと物を壊したり、お金をくすねたりとトラブルの連発。しまいには私にだけではなく、仕事で疲れて帰ってくる夫にも暴言を吐き、物を投げつける始末。ついに堪忍袋の緒が切れた私が苦言を呈すると……。
「他人のオバサンは出ていけ! 二度と私に関わるな!」
私は冷静に答えました。「……わかった。もうあなたには関わらない。すべての援助を打ち切ります」
真実は!?
「はぁぁ? 援助?」と目を丸くして大げさに驚く義理の娘を前に、夫が口を開きました。
夫が語り始めたのは、元妻が不倫相手と共に詐欺を働き、衣料会社を破産寸前に追い込んだこと。私は実はフリーランスのデザイナーとして成功を収めており、海外ブランドとも取引をしている事業主であること。夫の会社はもともと取引先で、その窮地を私が助け、縁あって結婚に至ったこと。夫は会社の借金返済に注力していて、今の生活費や学費は私がこれまでの稼ぎから出していたこと……。
義理の娘は目を丸くし、「お母さんが不倫? 家のお金も学費もこの人が……? そんなのウソ、でたらめ言うな!」と絶叫。それを見た夫は、厳しく宣言しました。
「人の恩義を理解せずに浪費を続け、暴言を吐いたり物に当たったり……。こうなったら、一度社会に出て自分ひとりの力で暮らしてみろ!」
その後、本当に家を出ることになった義理の娘は昼夜の仕事を掛け持ちして働き、現実の厳しさを身をもって学んでいます。再び家族として歩み寄るには時間が必要ですが、いつかまた一緒に暮らし、互いに思いやりを持って支え合っていければと思います。
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義理の母娘がすぐ親しくなれないのは仕方ないとしても、支えようとしてくれている人に対してこの態度は残念な気持ちになってしまいますよね。義理の娘さんがいずれ改心し、良い関係が築ける日が早く来ることを願いたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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