「はぁ?息子が?」「去年の正月に来たっきり、一度も息子には会ってないわよ!」と義母。しかし、夫はしょっちゅう義実家へ泊まりに行っているはずなのです。
「だから来てないって言っているでしょ!」と義母は怒鳴り始めました。「で、でも、夫は『最近母さんがさみしそうにしてるから、頻繁に顔を出したい』って……いつもそう言って出かけているんです」と言うと、「そんなこと言われても、正月以降、息子は一度も来ていないわよ」と義母は言うのです。
耳を疑う義母の発言
「……もしかして浮気相手の家に行ってたりして」と言った義母に、私は耳を疑いました。
続けて「嫁に嘘ついてまで泊まりに行くなんて、そういうことでしょ?」「立派に女遊びも覚えちゃって、あの子ったら」と、くすっと笑う義母に、私は開いた口が塞がりません。
「浮気は男の甲斐性!」「ちょっとくらい女遊びしてた方がいいのよ」「それに、浮気が嫌ならされないように努力しなさいよ。夫に飽きられるような嫁が悪いんだから」
それからは私を下げる発言のオンパレード。電話を切るころには、私は疲れ果てていました。
連絡すると迷惑がる怪しい夫
その後すぐ、不安になった私は悪いと思いつつも、仕事中の夫に電話をしました。
「仕事中に何度も電話かけてくるな!」と開口一番、私を怒鳴りつけた夫。「昨日どこにいたの?」「実家に行ったって言ってたけど、お義母さんは『来ていない』って言ってたわよ?」と言うと、「えっ!?」と夫は素っ頓狂な声を上げました。
「あなたは週1回以上、実家に行くって言って家を空けているけど、お義母さんは去年の正月以降あなたに会っていないって」「こんなこと考えたくないけれど、まさか浮気しているの?」
そう問い詰めると、「う、うるさい!俺は仕事で忙しいんだ!」「それに、いったい誰のおかげで飯が食えてると思っているんだ!」と論点をずらした夫。
「今後、二度と仕事中に連絡してくるな!」「お前のせいでトラブル対応にも遅れが出たし、しばらく帰れない!でも絶対に連絡してくるなよ!」と言った夫に、一方的に電話を切られてしまいました。
1カ月後――。
夫はあれから一度も家に帰ってきていません。
痺れを切らした私は夫に連絡。「いつになったら帰ってきてくれるの?」と聞くと、「だから仕事中に連絡するなと言っているだろ!」とまたも私を怒鳴りつけてきた夫。
「あれから全然話し合いもできていないし、それどころか顔も見ていないし、声も見ていないし」「お願いだから、今週末は帰ってきて」と言うと、夫はすぐに「今週末は無理だな!」「土曜から5日間、出張に行くんだ」と言ってきました。
きな臭いと感じた私は、「本当に、出張なの?」と尋ねました。すると、夫は「当たり前だろ!」「まさか、まだ俺の浮気を疑っているのか!?」と逆ギレ。
「今週末の出張は大事な商談なんだ、日中は仕事もあるし、夜は接待もある!」「だから変な疑いをかけて、連絡してくるなよ!」「もし約束を破って連絡してきたら離婚だぞ!」
約束を守っただけ
夫の出張は昨日で終わったはず。しかし、夫は未だに家に帰ってきませんでした。
どうせ今日も帰って来ないだろうと思い、家でのんびり過ごしていると、なんと夫から連絡が来たのです。
「なんで俺に何も言わなかったんだ!」
「会社からの解雇通知なんてすぐに旦那様に報告すべきだろ!」
「連絡するなって言ったよね?」
「え?」
たしかに、夫の"出張"の3日目である月曜日に、夫の会社から「解雇通知を出したいが、本人が月曜なのに出社してこない」「連絡もつかないから、出勤予定がわかったら教えてください」と連絡がありました。しかし、私は言いつけを守り、夫に連絡をしなかったのです。
「本当は仕事の出張じゃなくて、ただの浮気旅行だってことも知ってるわよ」「興信所に依頼して全部調べたの」「浮気の証拠はあなたの会社の人たちにも全部見せてるからね」
突然の解雇通知に疑問を持った私は、夫の会社の人に「夫は今出張中なのに、いきなり解雇されるんですか?」と聞いたのです。すると、会社の人は「そんな出張頼んでいない!」と驚いていました。
夫は会社にいろいろな嘘をついて、休みをもぎ取っていたそう。有休はとっくに使い果たし、忌引きや義母の介護休暇、私の出産の付き添い休暇まで取得していたというのです。ちなみに、義母は未だに私に嫌味を言えるくらいにピンピンしていますし、私たちに子どもはいません。
思い切って、私は「私には仕事だと嘘をついて、浮気に出かけていたようなんです」「もし可能であれば、その日時に本当に仕事をしていたか確認させてもらえませんか」「証拠なら揃っています」と言ってみました。すると、会社の人たちも「ぜひ証拠を持っていらしてください」と乗ってくれたのです。
「虚偽理由での特別休暇取得は処分の対象だし、最近は浮気にうつつを抜かして勤務態度も最悪」「ときには社用車で浮気相手とドライブに出かけていたんですって?」「会社所有物品の私的利用は厳正な処分の対象だし、もしかしたら解雇どころじゃ済まされないかもね」
「必死に謝ってなんとか解雇を取り下げてもらおうと思ったのに……、お前のせいで許してもらえなかったらどうしてくれるんだ!」「俺が無職になったらお前の人生も終わりなんだぞ!」と夫。
しかし、夫が家に帰ってこなくなったあたりから、私は離婚を前提に動いていました。そのころにはすでに、夫への情は消え失せていたのです。
「あんたが無職になろうが、どうでもいいわ」「だって私はあなたと離婚するんだもの」「もう私の荷物は実家に送ったし、あとはあなたが離婚届にサインするだけよ」と言うと、夫は言葉を失っていました。
その後――。
会社の人たちのサポートもあり、私は夫とスムーズに離婚できました。ちなみに、会社は元夫へ損害賠償を請求したそうです。
義母は「浮気くらいで息子と離婚するなんて!」と怒って私に連絡してきましたが、私が事実を伝えると絶句。義実家のご近所さんによると、「無職になって実家にのこのこ戻って来るなんて恥ずかしい」と言って、元夫に家の敷居を跨がせないそうです。
何もかも失った元夫は、「お前だって離婚してから大変だろ?」「ずっと専業主婦だったから仕事を探すのだって難しいだろうし、俺と再婚したほうがお前にとってもいいはずだ」と私に復縁を迫ってきました。しかし、私はすでに実家近くの会社で働くことが決まってたので、丁重にお断りしました。
バツイチになった私をやさしく出迎えてくれた両親には頭が上がりません。財産分与と慰謝料でまとまったお金が手に入ったので、今度両親に素敵な温泉旅行をプレゼントしようと計画しています。
【取材時期:2024年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。