ある夜。飲み会から帰ってきた夫は、なんだかご機嫌ナナメ。何かあったのかと聞くと、飲み会で専業主婦の話になり、今の時代働いていないなんてヤバイと盛り上がったそうで、「俺の金で毎日ゴロゴロしているなんて贅沢だ」と言われました……。
突然変わってしまった夫
私は、結婚してからも仕事を続けたいと思っていたのですが、義母が共働きにいい顔をせず、夫からも「頼むから家にいてくれ」と言われ、仕事を辞めました。しかし、夫はそのことをすっかり忘れている様子です。
お酒も入っているからなのか、夫の嫌味はどんどんエスカレートしていき、ついに「専業主婦ってマジで寄生虫だわ」と、信じられない発言まで飛び出しました。そして、その勢いのまま「働いていないやつにお金の使い方を決められたくない」と言い、来月からは自分が家計を管理すると宣言。今後、私には食費だけを渡すと言い出しました。
今でも毎月ギリギリでやりくりしているのに、どんぶり勘定しかできない夫に家計管理ができるのか疑問でしたが、言い出したら聞かない性格なので、私はそのまま任せることに……。
1カ月分の食費として渡されたのは…
夫が家計を管理すると宣言してから2週間後。給料日から数日が経ち、私は夫から呼ばれました。ドヤ顔で「これ、今月分の食費な」と、私に1万円を渡す夫。想像していたよりもはるかに少ない金額に、私はビックリ……。さすがにこれでは無理だと伝えましたが、ネットで調べれば食費1万円の夫婦なんてザラにいると言い張ります。そして、「専業主婦で暇なんだから節約レシピを勉強して努力しろ」と言われ、私は仕方なく1万円を受け取りました。
夫は満足そうに笑っています。もし足りなかったらどうすればいいかと確認すると「そのときは、俺に土下座して、母さんにも頭を下げて、働く許可をもらって仕事をしろ」と……。専業主婦なら、やることをやって自分の存在価値を証明しろというのが、夫の言い分のようです。
あまりにもひどい言葉を浴びせられ、夫への愛情がスーッと冷めていくのを感じました。思い返してみれば、夫はいつも義母の言いなりで、義母の言葉に同調するばかり。義母が私に嫌味を言っても、庇ってくれることはありません。それでも、掃除が行き届いた部屋で快適だと言ってくれたり、作った料理を褒めてくれたりしていたので、今まで耐えてきたのですが、そんなことを言ってくれる夫は、もうどこにもいません。
最近は、私を見て「すっかりおばちゃんになって、女を捨てている」と笑うのが日常。私だって好きで女を捨てているわけではありません。服は半年以上買っておらず、美容院にも行けていないのは、専業主婦にオシャレは必要ないと義母に言われ、夫がそれに同調したからなのです。
このままの生活を続けていいのか…?
ある日、夫が泥酔して帰ってきました。私はつい「そんなに深酒をするほどのお金があるなら、食費を増やして!」と強く言ってしまったのですが、その言葉で夫を怒らせてしまったようで……。
「お前っていてもいなくても一緒だよな」
「専業主婦で稼げないし」
またも夫からの信じられない発言が……。
専業主婦を見下す夫にはもうウンザリ。私も自分の気持ちを伝えることにしました。
「うん」
「だから家を出たよ」
私は、夫との生活を続ける意味がわからなくなり、すでに家を出ていて伝えるために戻ってきていたのです。
いつ離婚を切り出そうかと、考えていたところだったので、夫の発言は願ったり叶ったり。私は離婚届を差し出し、すでに仕事も新居も決まっていることを伝え、新しい職場では旧姓を使うつもりだから、早く判を押してほしいと言ってその場を去りました。
そして1週間ほど経ったころ、夫から記入済みの離婚届が送られてきたので、役所に提出して私たちは離婚。私はシングルライフを楽しむはずだったのですが……。
変わり果てた夫の衝撃的な姿
離婚から半年。元夫から「会って話したい」とメッセージが届きました。何の話かと思い会いに行くと、そこには髪はボサボサで、無精ひげを生やして、だらしない体型をした元夫の姿が。あまりの変わりぶりに驚きつつ、話を聞いてみると、家賃を滞納し、強制退去を迫られていると打ち明けられました。夫は、お金があればあるだけ使ってしまうタイプだったので、遅かれ早かれこうなるとは思っていましたが……。
私は、給料を前借りするなり、親に泣きつくなり、自分で解決するように話すと、実は離婚後に寂しさから夜の街に入り浸るようになり、遅刻や無断欠勤を続けた結果、会社をクビになったと夫は言います。生活サイクルも乱れ、家はゴミ屋敷と化し、世間体を気にする義母には、恥ずかしいと突き放されてしまい頼れないとのこと。
「もう一度だけチャンスをくれ……」
泣いてすがる元夫に、私は「無職で稼げない人と、一緒にいる意味はあるのかな……?」と言ってやりました。その言葉にハッとしたような表情を浮かべた夫。自分が同じことを言われたことで、半年前、私がどんな気持ちだったのか、少しはわかってくれたでしょうか。もちろん私は、夫の申し出を断り、シングルライフを満喫中です。ずっと我慢していたオシャレを楽しみながら、バリバリ仕事をしています。
◇ ◇ ◇
専業主婦には休みがないとよく言いますよね。24時間365日、家族が快適に生活できる環境を整えるのは簡単なことではありません。お互いの立場を尊重し思いやりをもって暮らしたいですね。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。