「今日隣の部屋に引っ越してきたの!」「運良く空いててよかったぁ」とメッセージを送ってきた義妹。
「お兄ちゃんを取られた!」と言って私に対する敵意をむき出しにしていた義妹が、わざわざわが家の隣に引っ越してくるなんて思ってもみませんでした……。
義妹の策略
「隣の部屋に引っ越したから今日からよろしくね♡」「イジワルもしちゃったけど本当はお義姉さん大好き♡」と突然連絡してきた義妹。
そして、義妹はとんでもないことを言い出したのです。
「じゃあ、これからは私の専属家政婦として頼んだわよ!」
私は目が点に。思わず「専属家政婦ですって!?」と聞き返すと、義妹はふふんと笑って続けました。
「実家を出て一人暮らししたかったんだけど、私って家事全然できなくてぇ~」「お兄ちゃんに相談したら、『俺たちの近所に引っ越してくればいい』って言ってくれたんだよね~」「お義姉さんは料理も掃除も得意だし、仕事も在宅なんでしょ?まさに私の専属家政婦にうってつけじゃない!」
私は開いた口が塞がりませんでした。
「私に仲良くしてもらいたいなら、そのくらいしないとね~?」「さすがの私もお世話してくれる人に意地悪したりしないし」「よかったね、私と仲良くなれるチャンスをもらえて!」
その後すぐ、私は電話で夫を問いただしました。しかし、夫は義妹の味方。「妹は苦手な家事を助けてもらえて、お前は妹と仲良くなれる!ウィンウィンじゃん!」とのたまったのです。
止まらない嫌がらせ
それから――。
仕事帰りや休日は遊び歩いている義妹。直接頼みにくることもなく、夫を通じて私に合い鍵を渡し、家の掃除をしておけなど指示を送ってくるようになりました。「うちのゴミ、分別して捨てておいてね!」などと連絡を受けるたびに、ため息とともに私は義妹のゴミを片付けていました。
そして、義妹が引っ越してきてから1カ月後――。
義妹の嫌がらせはゴミだけにとどまらず、さらにエスカレートしていました。義妹はとにかくすべての家事を私に押し付けてくるようになったのです。食事の材料費や掃除用具などの代金も私が立て替えていたのですが、義妹は「後で払うから!」と言って結局払ってくれませんでした。
「今日もゴミ、よろしくね!今日は玄関の前に置いておいたから。分別して捨てておいて!」「あ、あと、今朝大音量で音楽かけっぱなしにしたまま出勤しちゃってごめんね~」と連絡してきた義妹。
私はきょとんとして、「そうなの?とくに聞こえなかったし、仕事に支障はなかったよ」と言いました。すると、私の返事が気に食わなかったのか、「そんなわけないでしょ!わざわざあんたの部屋の壁にスピーカー当てて音楽かけたんだから!」「休日出勤させられて腹立ったの!だからあんたが仕事に集中できなくて発狂してる姿を想像したくてやったのよ!」と怒る義妹。
さすがにこれは限度を超えている、と思った私は、義妹に言いました。
「家事は丸投げ、ゴミ出しも分別すらしない」「わざと騒音を出して困らせようとするし……私と仲良くするつもりがないなら、もう関わらないでくれる?」
「何よ、急に生意気言いやがって!」と逆ギレした義妹。「私と仲良くしたいなら、逆らうんじゃないわよ!」「これが私なりの交流なのよ!」と言う義妹に、私はため息をつきました。
もう一人の隣人
「明日もお義姉さんの部屋の壁にスピーカー当てて大音量の音楽かけちゃおっと!」
「日ごろのストレス発散よ!w」
「明日は壁を間違えないようにね」
「え?」
義妹は、私たちの部屋を勘違いしているようでした。わが家は義妹の右隣。しかし、義妹が嫌がらせをしていたのは義妹の左隣の部屋だったのです。
歳が近いこともあって、以前から左隣の部屋に住む女性と仲良くしていた私。その女性から「最近うちの前に謎のゴミ袋が置かれていて……」という相談を受けて、私は義妹がしでかしたことに気づいたのです。そういえば私の部屋の前にはゴミはありませんでした。
その女性にはひたすら謝り、その後は義妹から連絡を受けるたびに私が左隣の部屋の前に行って掃除をするように。その女性も義妹の嫌がらせを腹に据えかねていたようで、「さらにひどくなったら、単身赴任中の夫に帰ってきてもらって、ガツンと言ってもらうわ!」と言っていました。
「ど、どうしよう、どうしよう……」「私、無関係の人に嫌がらせしてたってこと……?」と声を震わせた義妹。「今日は朝からわざと騒音まで出していたんでしょ?」「とりあえず帰ってきて謝ったら?」とだけ言って、私はやり取りを終えました。
数時間後――。
帰ってきた義妹を待ち受けていたのは強面で屈強な男性。「うちの妻は夜勤が多い仕事だから日中寝ているんだ、お前のせいで寝不足で怪我でもしたらどうする!?」「しかも家の前にゴミを置きやがって……妻の精神的苦痛がわかるか!?」と義妹を一喝。
その様子を私と隣人の女性はこっそり見ていました。
隣人の女性は騒音にたまりかねて、たまたま休日だった夫を召喚。私には「夫ったら、私のこととなると居ても立ってもいられなくなるみたいで……」「顔は怖いんだけど、私にはやさしいのよ」とのろけていましたが……。
義妹は「違うんです、兄嫁に嫌がらせしようとして間違えたんです!」と必死に弁明。しかし、それは逆効果でした。隣人の夫は「兄嫁とはいえ、家族にそんな嫌がらせをするやつがあるか」とドン引き。「そんな性格の悪いやつがうちの妻の近くにいるなんて……!今すぐ出て行ってくれ!」と言っていました。
しばらくして、義妹はようやく自分の部屋に入れたようでした。隣人の女性とその夫も自分たちの部屋に帰っていきました。
義妹はすぐに夫に泣きついたらしく、夫から「おい!なんで妹を助けない!」と私に連絡が。「『せっかく借りた家を追い出されそう』って泣いてるし……かわいい義妹だろ?助けてやってくれよ」と言われましたが、私に助ける義理なんてありません。
それに、私はすでに夫と住んでいた部屋にはいないのです。
「そもそも物理的に無理なのよね、今実家に向かってる途中だから」と言うと、夫は「えっ!?なんでこのタイミングで!?」と驚いていました。
「もうあなたと離婚しようと思って」「だから思い切って荷物をまとめて、ついさっき飛び出してきたの」「前々から義妹のほうを優先するし、私がいくら義妹の嫌がらせを訴えても聞いてくれないし……もうあなたにはうんざりなのよ」
その後――。
実家に帰った私の話を聞き、怒り狂った私の両親。とくに父の怒りは相当なものでした。もともと強面の父は離婚届を手に、夫のところへ直行。夫は「離婚したくない」とごねていたのですが、父のすごみに負けてあっさりと離婚届にサインしてくれました。
引越し資金がないのか、元夫と元義妹はあのマンションで静かに暮らし続けているそうです。つい最近、隣人の女性から「夫が単身赴任先から帰ってくることになったの!」「あんなきょうだいがいるところに一人で住まわせられないって!」と弾んだ声で連絡を受けたので、2人はあの強面の男性に怯えながら暮らすことになりそうです。まさに因果応報。これに懲りて2人が心を入れ替えてくれることを祈るばかりです。
【取材時期:2024年10月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。