そのため、私も仕事を始めたいと思ったのですが、プライドが高く、私を見下している夫は、私がフルタイムで働くことを許しません。私が少しでも働けば、夫の稼ぎを上回ってしまうことが目に見えているからです。
結局、家が散らかるのが嫌だとか何かと理由をつけ、在宅での仕事しか認めてくれませんでした。
勘違いに気づいた夫は急に態度を変えて…
ある日、家にパソコンを忘れ、会社に届けてほしいと言ってきた夫。しかし私は、もうすぐオンラインで打ち合わせが始まります。無理だと断ると、烈火のごとく怒り出し、自分の仕事のほうが、大事な仕事だと言われました。私の仕事はパートの延長線、遊びみたいなものだとけなすのです。「月収たった1万円の在宅ワークだもんな」と言い、さらに「お前は寄生虫のお荷物だ」と罵ったのです。
私は、夫のあまりにもバカにした態度にブチ切れました。心の底から私を見下しているのだと感じ、深く傷つき、失望、家を出ました。
「頼む! 戻ってきてくれ!」
私が家を出た直後の夫は「清々する」と言っていましたが、なんと、たった3日で泣きついてきました。
「在宅ワークの主婦はお荷物なんでしょ?」
「月収1万円だと思ってたから」
「まさか1万ドルだとは……」
夫には、海外に住む友人から仕事を融通してもらったと、ちゃんと話してあったのですが、思い込みが激しい夫は、月収1万を円で支払われると思い込んでいたのです。私の月収が1万ドルと知り、夫は急に態度を変えて「本心じゃなかった」「いつも感謝している」などと言い出しましたが……。
夫婦間における平等な立場とは…?
この勘違いも、夫が私のことを見下しているから起こったこと。私にさんざんバカだ、無能だなどと言っていた人から急に感謝していると言われても、仲直りなんてできません。夫からの数々の暴言は、なかったことにはできません。
私に戻ってきてほしいと夫が懇願するのは、どうせお金目当て。これからはお金を稼ぐ者同士、平等な立場でやっていける、前より良い関係が築けるはずだと言う夫。そもそも夫婦は対等であるはずなのに、そこに収入の上下を持ち出すのはおかしい話です。
私たちは、しばらく別居生活を続けました。それぞれ自分の稼ぎで暮らし、すべての家事を自分でこなす生活。夫の生活は想像していた通り絶不調。仕事でトラブルを起こし、解雇されてしまいました。ハラスメントで部下が病気になり、訴えられたそう。
夫からの仕打ちを公にし、訴えを起こした部下の行動から勇気をもらい、私も離婚へと1歩足を踏み出しました。
人生は何度でもやり直せる
私の決意を知った夫は憤慨。反省しているのに、この大変な状況の自分を見捨てるなんて、人として最低だと言ってきました。反省とは……?
慰謝料の支払いには、まずは収入を得ることが不可欠です。私は、「部下と私の2人に滞りなく慰謝料を支払うためには、早く仕事を探さないとね。そして、寝ずに働かないとね」と言ってやりました。
すると夫は、仕事も家事も自分だけではできないと弱音を吐いてきたので、意外と何とでもなるものだとアドバイスをしてあげました。私も、夫と結婚したばかりに人生詰んだと思いましたが、この通り巻き返せています。
大変な経験をしましたが、人生はいくらでもやり直せると思えば、何でも乗り切れそうです。環境を変えて、頑張っていこうと思います。
◇ ◇ ◇
覚悟や勇気は必要ですが、命さえあれば人生をやり直すことはいくらでも可能なのかもしれませんね。仕事も家事もひとりではできないと言う夫ですが、慰謝料を背負い、ひとりになることで、仕事にも自分の人生にも少しは責任感を持てるようになるのではないでしょうか。簡単に諦めたりせず、何でも前向きにやっていきたいものですね。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。