最初のうちは「ごめんね、うちの両親のせいで~」などと言っていた義妹ですが、次第に私に嫌がらせをするようになってきて……?
バリキャリ義妹
「同居のためにわざわざ仕事辞めたんでしょ?」と聞いてきた義妹。私は正直に「私の職場に通勤するには遠すぎるし……まぁ、夫は運よくご実家の近くの支店に異動できたんだけど」と答えました。
すると、「いくら嫁だからって、よくそこまでできるよね」「同居で介護で専業主婦とか地獄すぎるわ」「今までの努力が水の泡みたいなもんだし……あ、でも大企業勤めの私と違ってしょぼいキャリアだから問題ないのか!」と義妹。
私はすぐに理解できず、しばらくぽかんとしてしまいました。我に返って、「そんな言い方しなくても……」と言ったのですが、義妹は「ごめんねー!私って昔から思ったことずばずば言っちゃうタイプなのー!」と気にも留めていないようでした。
鈍感な私は気付かなかったのですが、すでにこのときから義妹の私に対する嫌がらせは始まっていたのでした……。
義妹から届くメッセージ
義実家での同居を開始して2カ月――。
義両親は私にとても良くしてくれました。義母とは毎日一緒に家事をしています。一緒に新しいレシピを試したり、カフェ巡りをしたり……。趣味の園芸を手伝った際に私が動画を撮ってあげたことがきっかけで、義父は動画編集にハマりました。夫もまじえて4人で和気あいあいと楽しく過ごしていたのです。
そこに毎回水を差すのが義妹。
「うちのお母さんは専業主婦だから家事とか料理とかすごくうるさいよ。気を付けた方がいい」「楽しいのは今のうちだけ!どうせそのうち厳しいお母さんの本性が出ていびられるんだから!」
私にときどきこのようなメッセージを送ってくるのです……。
ある日、思い切って義妹からのメッセージを夫に相談することにした私。
「最初は同居を心配してくれているだけだと思っていたんだけど、最近はなんか違うような気がして……」と言って、夫に義妹からのメッセージを見せました。
『そろそろお母さんにいびられてる?』
『本当は厳しく怒られて泣いてるんでしょ?』
『調子に乗るなよ、所詮お前はただの嫁だからな』
「まさか、本当にうちの両親にいびられたりしてないよな……?」と言い出した夫。私は「まさか!」とすぐさま否定しました。
「あなたのご両親はすごく私に良くしてくれるから、いつも『ありがとう、同居生活はとても楽しいよ』って返すんだけど……」「最近じゃ露骨に『なーんだ、つまんない』って返信が来るようになって……」「私、何か嫌われるようなことしちゃったのかな……?」
腕組みをしていろいろ考えている様子の夫。しばらく経って、「いや……たぶん嫉妬だろうな」と、思いもよらないことを言ってきました。
「妹は両親と仲が良くなくて……だから楽しそうに過ごしている俺たちがおもしろくないだけだよ」
夫によると、昔からバリバリのキャリア志向だった義妹は、専業主婦の義母を見下していたそう。「私はこんなダサい人生なんて遅れないから」と義母を煽り、衝突を繰り返していたのだそうです。義母も負けじと「仕事以前に生活力がないと!」と言って、義妹に家事を厳しく指導したため、余計に仲が拗れてしまったのだそう。
その後、夫は私の肩にやさしく手を置き、「妹からのメッセージは無視していいからね」「もしまた何か送られてきたら、これからはすぐに俺に教えて」と言ってくれたのでした。
我慢の限界
2週間後――。
「明日、夫と一緒に帰省するから!」「専業主婦らしく、おもてなししてよね?」と連絡してきた義妹。私たちはその準備に追われることになったのでした。
そして、義妹夫婦の帰省当日――。
私は昼食にカレーを用意していました。配膳していると、こちらに向かってくる義妹から間もなく着くと連絡がありました。用事があってたまたま先に到着していた義妹の夫が、今日のメニューを伝えていたようです。
「なんでカレーなの?ありえないでしょ!」
「今すぐ高級寿司の出前にしなさいよ!」
「なんだって?」
「え?」
そこには怒りで顔を真っ赤にして返信する夫の姿が。そして義妹が義実家に到着しました。騒ぎに気づいた義妹の夫、そして義両親がダイニングに集まっていました。
「なんでお兄ちゃんが出てくるのよ!」と怒鳴る義妹に対し、「俺たちきょうだいに代わって両親の世話をしてくれてるのに……誰にそんな態度取ってるのか、わかってるのか!」と一喝した夫。
「うちの妻が実家になじんでるのが気に入らないからって、お前は幼稚な態度ばかり取りやがって!」「羨ましいなら実家に来て手伝えばいいだろ!」「昔から家庭に尽くす母さんを馬鹿にして、その次は俺の大事な奥さんを馬鹿にして!大企業勤めがなんだ!そんなに偉いなら母さんと俺の妻が家事や介護をしなくていいように仕送りでもしてみろよ!」
事態を把握した義妹の夫も私に謝罪をしてきました。
「本当に申し訳ありません、お義姉さん、お義兄さん!」とひたすら頭を床につけ続ける義妹の夫に、私と夫は顔を見合わせました。
「そ、そんな……あなたが謝ることじゃ……とにかく、頭を上げてください」と言っても、一向に義妹の夫は頭を上げてくれません。
「僕のせいで、僕のせいで……妻は暴走してしまったんだと思います」「僕がカレーの香りを絶賛したから……。それでカッとなって、妻はお義姉さんにひどいことを言ったんだと思います」
どうしてカレーの香りを絶賛しただけで、私が怒鳴られる羽目に……?という疑問が私の顔に出ていたのでしょう、義妹の夫はさらに続けました。
「うちは毎日外食なんです……最近はそのことでもよく揉めていて」「どんなに話しても、朝のトーストすら断られます。コンビニおにぎりを渡されるだけなんです」「でも、かといって僕がキッチンに立つと『私への当てつけか』と言って逆ギレして暴れて……」
涙ぐみながら、義妹の夫はさらに続けました。
「でも、僕もそろそろ我慢の限界で……そんなときにあんなおいしそうなカレーの香りをかいだら!」「つい『今度カレー作ってよ』って妻に言ってしまったんです……。それがいけなかったんだと思います……」
義妹夫婦の食生活を聞いて、誰も何も言えなくなってしまい、場に静寂が訪れました。しばらく経って、義妹の夫は目元を指で拭い、義妹に無理やり頭を下げさせながら「今日のところは失礼いたします」と言って義妹を連れて帰りました。
その後――。
この一件をきっかけに義妹と義妹の夫は離婚。義妹の夫はずいぶん我慢していたようなので限界を超えたということでしょう。義両親も義妹にはこれまでの態度もあり呆れ果てたようで、絶縁を宣言していました。二度と実家の敷居をまたぐことを許さないようです。
私はというと、義実家での同居生活を楽しんでいます。もちろん同居には大変なこともありますが、これからも義両親と夫と4人仲良く暮らしていこうと思っています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。