妹の同居は、夫が私に何の相談もなく決めたことでした。料理も掃除も苦手な妹を、しぶしぶ我が家に受け入れることになったのですが……?
同居の理由
慌てて夫に連絡した私。夫は先日、たまたま妹と出先で会ったそうで、そこから同居の話が出てきたのだそうです。
「上司とトラブって仕事もクビになったらしいし、そのせいでアパートも追い出されそうだって言ってたし……」「かわいそうだと思って、俺たちの家に来ないかって誘ったんだよ」「俺は仕事が忙しいし、お前の体調も心配だったし、こういうときに助け合える家族がいるっていいよな!」
「それでも、私には一言相談してほしかったな」「妹は家事できないし、私の負担が増える可能性だってあるわけだし……」と言うと、「きっと、一緒に暮らしていくうちに家事も上手になるって!」「俺なりに赤ちゃんとお前のことを心配してるんだ」と夫。
しぶしぶ妹の同居を了承したものの、やたらと妹のことをかばう夫に、私は不信感を抱いたのでした。
ストレスからの入院
同居開始から3カ月後――。
妹の家事スキルは相変わらずでした。洗濯は色移りさせて何枚も服をダメにするし、料理は食べられたものではありません……。掃除も見えるところをさっとキレイにしただけで、肝心の水回りは結局私がやることに。
「お掃除動画見てがんばってるのに……」と言う妹と、「妹さんだってがんばってるのに、そう怒るなよ!」と妹をかばう夫。私のストレスは限界に達しており、その影響が次第に体に現れていました。
そして、かかりつけの産院へ行って相談したところ「入院してストレス源から離れてみるのもひとつですね」と医師。その場ですぐに決められなかった私は、いったん夫に相談することにしたのですが……。
「じゃあ、お前は病院でゆっくりしてくれ!」「俺は妹さんとのんびりお前が戻って来るのを待つよ」と言った夫。ストレスの元凶である妹を追い出さずに、私を入院させるほうを選んだのです。
意気消沈したまま、入院の準備のためにいったん家へ帰ろうとしているところへ、妹からメッセージが届きました。「聞いたよ!お姉ちゃんは病院でゆっくり休んでね!」「家のことは私と彼で守るから!」とウキウキな様子。そして私のお世話をしたいとアピールしているのでしょう。
「出産もうすぐだね!私にできることがあったら何でも言ってね!」
「そのために私は同居してるんだから♪」
「じゃあ私が寝た後、夫とソファでいちゃつくのやめてくれない?」
「え?」
ベビーモニターに映っていた衝撃の光景
「実はね……」と言って、リビングの棚の上を指さした私。
「赤ちゃんのために高性能で小型のベビーモニターを用意しておいたの」「試しに設置しておいたら、予想外の光景がたくさん映っててびっくりしたよ」「私が寝た後、毎日2人でソファで寄り添ってるなんて……ねぇ?」
青ざめた妹は、「な、なに勝手にそんなものつけてんの!?」「ひどいよ、隠し撮りみたいなことしてたなんて!」と言ってきました。
「ひどいのはそっちでしょ?」「でも今は出産に集中したいから、このことは保留にしておいてあげる」「ただ一線を越えたら許さないわよ」「このベビーモニターはスマホからでも確認できるから、入院中もずっと病院のベッドの上からチェックしてるからね?」
にっこり笑ってみせると、妹は腰を抜かしてしまったようでした。
「無事に出産が終わったら、出て行ってもらうからね」「そのためにも、仕事と次の家、早く見つけておきなさい」
夫の弁明と妹の末路
1時間後――。
病院に着いてスマホを確認すると、夫からひっきりなしの着信履歴がありました。かけ直すと、「あの、違うから!妹さんとは浮気じゃないから!」といきなりの弁明。
「もう妹さんには近づかないから、離婚だけはどうかやめてくれ!」と言われたので、私はため息をついて「はぁ……離婚なんてするわけないでしょ」と返しました。
「これから子どもが生まれるんだもの、あなたには父親の責任を果たしてもらいます」「だから離婚はしません」と言うと、夫は「やったあああ!」と大喜び。
「……まぁ、あなたのご両親はブチギレかもしれないけど」「ベビーモニターの映像、複数のスマホに連携できるの」「だから、あなたのご両親もベビーモニターの映像を見られるように設定してから病院に来たんだ」
入院前に義実家に立ち寄り、「ストレス軽減と安静目的で入院するので、夫と妹の監視をお願いできませんか?」と義両親に頼んできた私。経緯を話して、夫と妹が寄り添っている映像を見せると、義父は烈火のごとく怒り、義母は情けなさから泣き出してしまいました。
「夫としての信用はもうないけど、おなかの子どもの父親としては信じてるからね」「だからもう、二度と私を裏切らないで」
その後――。
私は退院することなく、そのまま出産を迎えました。無事に出産を終えたときは、心の底からホッとしました。
私の入院中も、あの手この手で夫を落とそうとしていた妹。妹はリビングのベビーモニターしか設置していないと思ったのでしょう。でも実際にはあちこちにカメラを仕掛けていました。車にも車内カメラを設置しておいたので、妹が夫に迫る様子はばっちり撮れていたのです。
一方、夫ははっきり妹を拒絶。もしも一線を越えていたら、さすがの私も離婚を考えていたかもしれません。
私と子どもの退院と入れ替わりで、妹は両親に引きずられるようにしてわが家から出ていきました。しばらく親戚のぶどう農家で、みっちり仕事をさせるそうです。
私の両親にも、義両親にも厳しく叱られた夫。今は「俺、こんなかわいい子どもを裏切ろうとして……本当にごめん!」「絶対に2人を幸せにするから!」と言って、仕事にも育児にも励んでくれています。妹とのことは許せませんが、夫のことは子どものためにももう一度だけ信じてみようかなと思っています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。