引っ越してきてからというもの、義両親がしょっちゅう家に来るようになり、かなり負担です。最初は数時間の滞在だったのが、徐々に時間が長くなって、今では朝やってきてお風呂まで入っていくように……。
さすがに来る頻度を少し抑えてもらえないかと夫に相談しましたが、夫は自分の両親だから大切にしてほしいと言います。結婚当初からチクチクと嫌みを言われ、私にだけ当たりが強い義母。とてもじゃないけど、歓迎できません。
プライド?私が支払ってるのに…
実は私には、もうひとつ気になることがあります。それは、この家のローンのこと。夫は在宅で仕事をするフリーランスなのですが、会社を辞めて独立したばかりで、住宅ローンを組むことができませんでした。
そのため、新卒からずっと同じ会社に勤めている私が、住宅ローンを組むことに。しかし義両親には、このマンションは夫がひとりで買ったことになっていて「正社員なのに息子ひとりに支払わせるなんて情けない」と言われてしまいました。
夫もその場にいたのに、私を庇ってくれることもなく黙っているだけで義両親は言いたい放題。夫は「誰が買ったかなんて重要じゃない」と言いますが、大きな額の借金を背負っている私にとっては、かなり重要です。そんな中、ついに事件が……。
間もなく仕事も終わるというころ、夫から帰ったら書斎の荷物を片付けるようにとメッセージが届いていました。私は嫌な予感がして、すぐに夫に電話をかけて理由を聞いてみると、信じられないことを言われました。
「お前の買ったマンションに両親も住まわせるから」
ついこの前、わが家に来る頻度を抑えてほしいとお願いしたばかりなのに、一緒に住むなんて無理に決まっています。しかし夫は、もう義両親が住む気満々で断れないと言い、一緒に住んだほうが仲良くなれるとか、家族は多いほうが楽しいとか、私を言いくるめようとしてきます。
どれだけ説得されても義両親と一緒に住む気持ちにはなれず、勝手に決めた夫のことも許せません… …。
ある人物を召喚した私
「部屋片づけとけよ!」
夫も私も譲らす、しばらく押し問答が続き、最終的に夫が逆ギレ。
「わかった、キレイにしとくね」
仕方がないので、私がそう答えると、観念したと思ったのか、夫の態度が変わりました。
「今日中にやれよ~」
そう言って電話を切られました。義両親が押しかけてくるのは、もう止められないと思った私は、ある人物に連絡を取り協力してもらうことに。
数日後、仕事中に夫から着信があり出てみると、相当動揺している様子……。
「どういうことだ!? おまえの両親が今日から住むってうちに来たぞ」
私は、自分の両親もわが家に呼び寄せることにしたのです。3部屋あるので、義両親・両親・私たちでそれぞれ使えば問題ありません。私は、夫の言葉を借りて、両親は住む気満々で今さら断れないし、一緒に住んだほうが仲良くなれて、大勢のほうが楽しいよと言いました。
譲らない性格同士のギスギス同居
仕事を終えて帰ると、義両親も到着していて、わが家は一気に大所帯に。義母も母も主婦歴が長く、それぞれの家事に自己流のこだわりを持っています。2人とも譲らない性格のため、ことごとく衝突して1カ月も経たないうちにすっかり険悪ムードになりました。
ちなみに、両親には義両親と同じように夫にチクチク嫌みを言ってもらうようにお願いしておいたので、在宅で仕事をする夫は常に両親に嫌みを言われながら過ごす日々。そんな最悪の空気の暮らしが長続きするわけもなく……。
「俺が悪かった。反省してるから、どうか両親に帰るように言って下さい」
ついに、夫から謝罪の言葉が出てきました。思ったよりも早いギブアップに少し驚きましたが、やっと私の気持ちがわかったようです。
私が義両親も帰らせるように言うと、渋々了承してくれました。しかし、それで終わりとはなりません。私は夫に、義両親と一緒に実家に帰るように伝え、離婚を言い渡しました。
同居という大事なことを勝手に決めたことと、義母が私をいびっているのを知りながら見て見ぬふりをしていたことが、どうしても許せませんでした。夫はぐだぐだと言い訳をしてごねましたが、私が嫁いびりの証拠も揃っているから、すぐに出て行かないなら慰謝料を請求すると言うと、離婚に応じてくれました。
こうして、私たちの結婚生活は終わりを迎え、私はやっと気兼ねなく過ごせる自分の城を取り戻しました。実家に帰った夫は、マンション生活を満喫した義両親から、マンションを買ってほしいとねだられて困っているようです。
◇ ◇ ◇
これまで他人だった人と一緒に暮らすというのは、想像以上にストレスを感じるものですよね。後で大きなトラブルに発展しないためにも、両親との同居や介護などの大事なことについては、結婚するときにしっかりと話し合っておいたほうが安心ですね。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。