提案してきたのは
夫が長期入院になってしまい、私はパートに出ることに。すぐに経済的に困るようなことはありませんでしたが、お金は何かと入り用です。すると、そんな私に結婚したての長男から電話がありました。
聞けば、毎月私に仕送りをしてくれるとのこと。新婚夫婦に心配はかけられないと一度は断りましたが、嫁が直接電話に出ました。
「お義母さん、どうか仕送りを受け取ってください! 困ったときはお互いさまですし、いつもお義父さんお義母さんには感謝しているんですから!」
私は嫁のやさしさに感激。気持ちをくんで今はお金を受け取り、孫のためにとっておこうと考え、お願いすることにしたのです。
疑惑の始まり
しかし、数カ月がたっても仕送りは振り込まれません。私としては、催促するのも気が引けるので、その後も話題にはしなかったのですが、違和感を抱えながら日々を過ごしていました。
そんなある日、パートが終わった私が家路を急いでいたところ、偶然派手な男性と嫁が腕を組んで歩いている姿を目撃してしまいました。驚きのあまり声をかけると、嫁は男性のことを「いとこです」と紹介したのです。
しかし、嫁は明らかに慌てた様子。第一、いい大人が街中でいとこと腕を組んで歩くでしょうか?
「本当にいとこ……?」と気になるばかりで、私は娘に、嫁について相談をしました。さすがにすぐに息子に聞く勇気はなかったのです。すると娘から提案が。
「お母さん、2人をうちに招待して、食事でもしながら家族で疑念を解消しよう!」
たしかめたいことは
食事の日。嫁と一緒にやって来た息子は、どこか悲しそうで不満そう……。なんとも言えない表情を浮かべていました。そして、意を決したように食事の前に話し始めたのです。
「母さん、俺たちに確認したいことがあるみたいだけど……。実は俺も言っておきたいことがあるんだ」
「何だい? 先に言っておくれ」と私が答えると、息子はこんな苦言を述べてきたのです。
「母さんさ、ぜいたくをし過ぎだよ……。毎月30万も仕送りをしているのに、さらに増やせなんて。母さんはそんなタイプじゃなかったろ?」
私はわけがわからずでした。月30万円なんて申し訳なくてもらえないですし、そもそも1円も受け取っていません。
「30万どころか、まだ振り込まれたことも一度もないけど……」
「えっ……?」
私の顔を見て、息子はウソではないとわかった様子。首をかしげています。すると娘がおもむろに口を開いたのです。
真相は?
「あら、どうしたんですかお義姉さん。汗、すごいですよ?」
するとそのとき。まさにジャストタイミングで、嫁のスマホに着信があったのです。娘は、慌てふためく嫁にスマホを出すように言い、「やましいことがないなら返答してください」と皆の前で電話に出るように促しました。
場が緊迫する中、明らかに動揺した様子の嫁。スマホを切ろうとして、間違って電話を取ってしまったようです。しかもスピーカーはON!
「もしもし、やっと出たぁ~! 今日もお店でシャンパン、開けてくれるよね? この間は30万だったけど、俺No.1になりたいからさ、増額ヨロシク♡」
私も息子もあ然。慌てふためく嫁は、スマホを取り落としてしまいました。その間も相手はペラペラ話し続けています。
「この間お姑さんと出くわしたとき、話を合わせてあげたでしょ~。いとこだって」
二重の裏切り
そう。息子が私への送金用に嫁に渡していた30万円は、ホストへの支払いに使い込まれていたのです!
真相が判明し、息子は何より先に私に誤解を詫びてくれました。嫁は泣きながら「一時の気の迷い」だと弁解しましたが、娘は兄に向かって指摘しました。
「これって、不倫だけじゃなくて金銭の横領行為だよね? いいの、お兄ちゃん? いろいろ調べはついているから、証拠が必要なら渡すよ」
その後、息子は嫁と離婚。自身の未熟さを反省し、慰謝料どころかだまし取られた金額も請求しませんでした。彼女のほうは、例のホストから多額の未払い分を請求され、借金までする泥沼にはまってしまったようですが、もう今は無関係です。
一方の私はというと……。夫が無事に退院し、娘と3人で平和に暮らしています。息子も離婚後に良いご縁があり、真面目でやさしい女性と再婚。来年には孫が生まれる予定です。
--------------
仕送りを提案してきた嫁。実は自分がホストにつぎ込むために着服していたとは……。二重の裏切りですよね。早い段階で嫁の不貞が判明し、母と息子との誤解が解けてよかったですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!