当時電車通勤をしていた私は、妊娠中も電車に乗る機会が多くありました。そんな妊娠8カ月のある日、うっかり帰宅ラッシュの時間帯に電車に乗ってしまったのです。そのとき感じた恐怖の体験談をお伝えします。
臨月間近に、ひとりで東京観光に
妊娠初期はつわりによる体調不良や、初めての体の変化に精神的にも不安定で、遊びに出かけることは考えられませんでした。しかし状態が落ち着き、出産が目前に迫ってくると、赤ちゃんがいたら行けない場所に今のうちに行っておかなければ! という気持ちになったのです。
当時埼玉県に住んでいた私は、赤ちゃんが生まれたら東京に遊びに行くなんてきっとできないと思い込んでいたので、臨月も間近の平日にひとりで都内各所を電車で巡ることにしました。
混雑した電車内の恐怖
皇居のお堀を眺めたり、銀座で高級ブティック街をウィンドウショッピングしたり……。電車や地下鉄を駆使して東京各所を巡った私は、すっかり満足して自宅に帰るべくJRに乗り込みました。
しかし、不運なことにちょうどサラリーマンの帰宅時間。乗り換えた電車はいっぱいで座ることなどとてもできない状態でした。
隣に立っていた女性からの助け舟
もっと人が乗ってきて、押されて胎児に何かあったらどうしよう、私のせいだ……と、恐怖で青くなっていると、隣から「あの、こちら妊婦さんなので席を譲ってもらえませんか」との言葉が。眼を閉じていたサラリーマン風の方が、立ってくれました。声を上げてくれたのは、30代くらいの女性の方でした。
胎児を守れるのは母親である自分だけです。周りの方に迷惑や心配をかけないためにも、もっと命を預かっている自覚をもって、通勤・帰宅ラッシュの時間帯の電車にはどうしても必要なときにしか乗らないようにするべきだったと反省しました。
著者:銀鏡あゆみ
二児の母。生まれ育った町で、自身の父母・祖母・夫・子ども2人との大家族で暮らす。地元を中心に取材・撮影・執筆を行うライター。