「ちょっと、すごいじゃないの!あなたの婚約者!」「今度、会社を立ち上げるんだってね!」と妹。私が席を外したちょっとの間に、彼と打ち解けてそんな話までしたのだそう。
「結婚したら社長夫人ってヤバ!めちゃくちゃ勝ち組じゃん!」と、なぜか妹は大興奮していました。しかしすぐさま、「それに比べてあんたは大人になっても内気だし、ぶっちゃけ彼と釣り合ってないんじゃないの?」と言ってきたのです。
「釣り合ってないのに無理やり結婚しても、バツがつくだけよ」「いっそ結婚を考え直したら?」「彼にはきっと、もっとふさわしい相手がいるはずよ」
私は妹の"アドバイス"に耳を貸さず、結婚準備を進めていたのですが……?
婚約者の浮気相手
私の結婚挨拶から2カ月後――。
「聞いて!私ね、ついに彼からプロポーズされたの!」「婚約指輪プレゼントされて、『俺の奥さんになってくれ』って言われちゃった!」と妹から連絡が。
とりあえず「おめでとう」とお祝いの言葉を口にした私。すると、妹は勝ち誇ったように「あんたが彼を連れて結婚挨拶に来た日に、こっそり連絡先を交換しておいてよかったぁ~」「その日の夜のうちに告白したらOKもらっちゃったもんね!」と言いました。
なんと妹は、私の婚約者と付き合っていたのです……。
「双子で同じ顔でも、私の方が相性も何もかもいいんだって♡」
「婚約者、奪ってごめんねw告白したらOKもらっちゃってさぁ」
「助かる~!私ね、実は…」
「え?」
婚約者の気持ち悪いコレクション
「本当に彼と結婚したいのか、最近よく考えていたところなのよ」と続けた私。驚く妹に「奪っていいってことよ!」「むしろそんなに欲しいなら譲ってあげる」と伝えると、「は?本当は妹に取られて泣きたいくらい惨めなくせに、なに強がってんの?」と妹。
「ほかの女と何度も浮気する男でよければどうぞ、私の代わりに結婚してあげて」
彼の実家に挨拶に行かないといけないのに、その話は進まないし、彼と連絡を取れない時間は増えるし……。だんだんと彼に対する不信感が募っていた私。
そんなときに、たまたま彼が手帳をうちに忘れていったのです。いけないと思いつつものぞいてみると……。
「そこには、身長や年齢、体型、趣味なんかのチェックボックスが書かれていてね」「彼、今まで浮気した女の子を全部メモして、そこにチェックを入れてたの」「ある種のコレクター……みたいなやつ?」
いろいろな形の恋愛があるということは知っていましたが、私はそのメモを見てドン引き。
「ちなみに、一番新しいページには『姉妹撃破!』って書かれていたわよ」「たぶん、私たちのことでしょうね」と言うと、妹は「はぁ?」と驚きと怒りでいっぱいのようでした。
彼との結婚をさんざん悩んでいた私。しかし、妹が略奪してくれたことで、彼と別れる決心がつきました。
「私は早速、彼を捨ててくるわ!」「奪ってくれてありがとうね!」
略奪愛の末路
翌日――。
「お姉ちゃん、助けて!」「このままじゃ本当に彼と結婚しなきゃいけなくなっちゃう!」と再び妹から連絡が来ました。
「しかも私、お姉ちゃんのふりをして結婚しろって言われたんだよ!?」
私も知らなかったのですが、彼は企業のために彼の両親に出資してもらう予定だったそうなのです。しかし、彼の両親はとても厳しい人たちなのだそう。浮気や略奪婚の事実が知れたら、お金は出してもらえないでしょう。
「『顔が似てるからいける』って彼は言うんだけど、いずれは絶対バレちゃうじゃない!」「あんな気持ち悪い浮気男で、しかも社長にもなれない男なんていらない!!」と妹。
「そのうえ、私への慰謝料の支払いもあるしねぇ」と言うと、「え……?」と驚いた様子の妹。
「当然でしょ、あなたたちのせいで婚約はなくなったんだから」「もうすでに両親に話してあるし、あなたは実家から追い出すってさ」「2人でどうかお幸せにね!」
その後――。
妹は実家から追い出されました。彼のほうも両親にバレ、出資の話はなくなったそう。さらに、彼は勘当されてしまったようです。仕方なく彼は自費で会社を立ち上げたようなのですが、それもいつまで持つか……。
彼と結婚すべきかどうかさんざん悩みましたが、私は結婚しなくてよかったと思っています。不誠実な人と結婚しても不幸になるだけです。今度こそ、誠実な人と巡り合えたらいいなと思っています。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。