会社で再会した、気になる人
僕は営業の仕事をしているため会社のエントランスまで取引先のお客様をお見送りすることが多く、受付をおこなっている社員と顔を合わせる機会が多くあります。
彼女とも顔を合わせることが多く、その際にあいさつをよくするのですが、彼女からはそっけない返事しか返ってきません。他の社員にはいつものようにあいさつを返しているのですが、なぜか僕だけには冷たいのです。
僕と彼女は同じ高校に通っていました。学年も部活も違ったので関わりはほとんどありませんでしたが、もしかしたら彼女は、学生時代の自分を知る僕と同じ会社であることを気まずく思っているのかもしれません。
しかし実は僕の中では、彼女は学生時代から気になる存在。学生時代に初めて見た彼女にひと目惚れをしていました。そのため、社会人になってこうして再会できたことがうれしかったのですが……。
「髪の短い人は好み?」
ある日、会社のエントランスで取引先の男性と話していると、彼がうれしそうに「実は僕、彼女ができたんです」と話し始めました。彼女の写真を見せてもらうと、ショートボブの女性です。
そして取引先の男性から、「髪の短い女性は好みですか?」と聞かれた僕。あまり髪型で好みを考えたことはなかったので返答に困りましたが……そのときは「ショートボブはかわいいですよね」と無難に返事をしました。
翌日…出社するとビックリ
翌日、出社するとビックリ。なんと受付のカウンターに立つ彼女が、長かった髪をバッサリ切っていたのです。「髪、切りました? かわいいですね!」と声をかけた僕。すると、彼女は驚いたように目を見開き、頬を赤らめて……。
彼女の普段と異なる反応に、僕はハッとしました。「失恋すると髪を切る」という言葉が脳裏に浮かび、彼女ももしかしてそういう理由から髪を切ったのかもしれない……僕は失礼なことを口にしてしまったのではないかと思ったのです。
とっさに「ごめん! 俺、そういうの気が回らなくて。……本当にごめん!」と謝り、急ぎ足でその場をあとにしました。
2人の距離が縮まるとき
お昼休みになっても、彼女を傷つけてしまったのかもと、彼女のことが気になって仕方がなかった僕。そこで、社食にいた彼女に勇気を出して声をかけてみることにしました。
「あの……朝は本当にごめんね」。そう彼女に声をかけ、「もし嫌じゃなければ、朝のお詫びに食事をおごらせてくれないかな」と、彼女を食事に誘いました。
普段そっけない反応だったため、断られるだろうなと思っていると……彼女からは「はい! 行きます!」と返事が。食い気味の反応だったのでとても意外でした。
その後、仕事終わりに食事へ。レストランでの時間は楽しく、お酒が入ったこともあったのか、彼女とも普通に会話をすることができ、とてもホッとした気持ちでした。しかし、なんと彼女は酔って眠ってしまい……。どうしよう……と焦り、ひとまず僕は彼女の同僚へ連絡してみることに。
男性である僕が自宅まで送るのはイヤだろうと思い、同僚に迎えにきてもらえないかお願いしようと思ったのです。けれど、夜も遅い時間だったこともあり、断られてしまって……。しかたなく、彼女の同僚に住所を教えてもらい、一緒にタクシーに乗って、彼女を家まで送り届けました。
その後、彼女の同僚にフォローに入ってもらって、彼女の無事がわかり、安心したのでした。
気持ちを打ち明けたら…
次の平日の仕事終わり。会社を出ると、なんと彼女から声をかけられました。
「先日のこと、改めてお詫びさせてほしくて……よかったら、夕飯をごちそうさせてください!」と。突然の誘いに驚きましたが、まさか彼女から誘ってくれるとは思わず、うれしさもありました。でも、後輩にはおごらせられません。「おごらせるなんてできない」と言うと、彼女は「グラタンをつくるので……よかったら、私の家で……」と頬を赤らめます。
まさかの誘いに慌ててしまった僕。とっさに、「そんなことされたら、本当に好きになっちゃうからダメだよ」と口にしてしまって……。
「しまった」と思っていると、彼女からは「そんなの大歓迎です!」という言葉が。
「だって、私ずっと先輩のことだけが好きだったから……!」。
こうして、なんと僕たちはこの日を境に恋人同士に。そして、僕はこのとき彼女が髪を切った理由を知ることとなったのです。会社のエントランスで僕が取引先の人と「ショートボブはかわいいと思う」という話を聞いていたという彼女。僕がショートヘアのほうが好きだと思い、思い切って髪を切ったのだとか。
そして、なんと高校時代から好意を持ってくれており、僕に憧れて同じ会社へ就職したということも。同じ会社に入ったはよいものの、僕と顔を合わせるのが恥ずかしく、これまでそっけない態度を取ってしまったということでした。
最初は嫌われているのではと思っていたため、彼女がそんなふうに思ってくれていたなんて……という気持ちでいっぱいでした。実は学生時代からお互いに思いを寄せ合っていた僕たち。こうして社会人になった今、恋人関係になれたこと、この奇跡をずっと大切にしたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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