「お前には悪いと思っているよ」「でも仕方ないよな、こういう運命だったんだから」と言って、記入済みの離婚届を差し出してきた夫。私が仕事で忙しくしている間に、夫は浮気していたというのです……しかも、私の実の妹と!
「お前の繁忙期が終わるまで、離婚の話はやめておこうと思ってたんだ」「これは俺なりのやさしさなんだ」と言って、自分がしていたことを正当化しようとする夫。もう呆れて言葉も出ませんでした。
こんな人でも、実家は会社を経営しており、次期社長なのです。私は財産分与と慰謝料請求することを告げたうえで、離婚届にサインしたのですが……?
妹のマウンティング
離婚して3日後――。
私が慌ただしく新居を探していると、妹から「やっと引越しが終わって落ち着いたよ~」と連絡がきました。
「やっぱりさすが次期社長だよね!」「駅近のタワマンにさらっと引っ越せちゃうんだもん!」「『お金のことは気にしなくていいから、好きなところ選んでいいよ』って言われたときは、本当にお姉ちゃんから奪ってよかったって思ったわ~」
こっちの状況を知ったうえで言っているのでしょう。妹には昔から、こういう意地の悪いところがありました。
「お姉ちゃんが両家顔合わせしてくれてたおかげで、その手間も省けるし」「日程決めたり、料亭予約したり……なんかすごいお金かけてたみたいだし、面倒くさいなぁって思ってたんだよね」と、さらに斜め上の発言を繰り出した妹。略奪婚で顔を合わせづらいのかと思いきや、全然気にもしていないようでした。
「……あなたの自慢話は終わった?だったら慰謝料の話をしたいんだけど」と言うと、「お金のことは私じゃなくて彼に言ってよ~」「私、彼と結婚したら専業主婦になるから!仕事ももう辞めたし!」と妹。
あまりに早計な妹に内心驚きつつも、「……でも、慰謝料は彼とあなた、それぞれに請求するからね?」と言った私。しかし、妹はあまり気にも留めていないようでした。
「私たち、結婚式は海外がいいなって思ってるんだけど、どこがいいと思う?」「お姉ちゃんだってかわいいかわいい妹のウエディングドレス姿見たいでしょ?」
私と元夫の結婚式が国内だったことを知ったうえで、こんなことを言ってくる妹。私が悔しがる顔を見たいといったところでしょう。
「あなたたちの結婚式に行くつもりはないわ」「慰謝料をもらったら、もう金輪際関わることもないでしょうし」と言って、私は電話を切りました。
ひとりぼっちの新婦
2カ月後――。
妹から結婚式の招待状が送られてきました。場所はハワイ。私は破り捨てようとしましたが、そのタイミングを見計らったかのように、妹から「結婚式の招待状届いたー?」と電話がかかってきました。
「お姉ちゃんは私の横を歩いてもらうのよ!」「ブライズメイドもしてもらうからね!」「なんてったって、お姉ちゃんは私と彼のキューピッドだもの!」
私はため息をついて、「それよりも、慰謝料を早く支払ってもらっていいかしら?」と言いました。
「お金のことは彼に言ってよ~、私はわかんないもーん」「それに、私お金なんかないわよ?専業主婦になるために仕事辞めたし、貯金も結婚式の前金とブライダルエステとかに使っちゃったもん」「私には次期社長の旦那様がいるからね!」
まだ結婚してもいないのに、自分の貯金を使い果たしてしまうなんて……。それに、元夫は一人息子で次期社長とはいえ、今はまだ普通の会社員。妹にそんなに甘い顔ができるほどの給料はもらっていないはずです。
私がそのことを口にしようか迷っていると、「そんなことより!絶対に結婚式来てよね!」「お姉ちゃんに拒否権はないから!」と言って、妹は電話を切ってしまったのでした。
そして、1カ月後、妹の結婚式前日――。
「お姉ちゃん、いい天気ねー!なんせ、今日はハワイへ向かう日だもの!私って運がいいのよね~」「お姉ちゃんも準備はできてるわよね?彼から慰謝料も振り込まれてるだろうし」と連絡をしてきた妹。
「お姉ちゃんはお金もあるし飛行機代は自腹ね!」
「ハワイ挙式で最高に悔しがる顔見れるの楽しみw」
「彼、出国できるの?」
「は?」
「出国できるの?って……なに言ってるのよ」と妹。本当に何も知らないようでした。
「実は、さっき彼のお父さんから連絡があって、『息子は実家に連れ戻した』って……」と言うと、「え!?彼なら朝早くにちょっとコンビニ行くって出ていったけど……?」と妹。
今朝、元義父は元夫に私の妹との結婚について話をしたそうです。元義父は「元嫁の妹と浮気して略奪婚なんて我が家の恥だ」「結婚するなら縁を切る」とまで言ったそう。
私の妹を選ぶか、実家を選ぶかの二択を迫られた元夫。今、妹と一緒にいないということは、元夫は実家を選んだということでしょう。
「え?ハワイは?結婚式は?」「メッセージも送ってるけど、全然既読つかない……」と途端に焦り出した妹。
「彼なら実家にいるんだから、直接行って話し合ってくればいいじゃない」と言うと、妹は「この状況で彼の実家に行ったって無理じゃない!」「4時間後には飛行機の離陸だし、ここから空港まで車でかなり時間がかかるのよ!?」と逆ギレ。
「じゃ、私はこれからフライトだから」と言うと、「まさか私よりも先にハワイに行くって言うの!?」「そもそも挙式できるかどうかピンチだっていうのに!」と妹。
前々から言っていたとおり、私は妹たちの結婚式には出席するつもりはありませんでした。事情を知っている友人が、ヨーロッパ旅行を提案してくれたので行くことにしたのです。
「そんな……!ちょっと待ってよ!お姉ちゃん!助けてよ!」と言う妹を無視して、私はやり取りを終えました。
その後――。
結局、完全に元夫は実家を選んだらしく、ハワイでの結婚式も結婚自体もパーに。しかも、元夫は勤め先の会社や実家のお金を使って妹に貢いでいたそうなのです。その責任を問われたこともあってか、元夫は妹を完全ブロックすることに決めたようでした。
妹はハワイの結婚式費用やタワマンの家賃などを一時的に支払わなければならなくなったそう。妹に激怒していた両親からのサポートは望めないでしょう。私へもSOSが来ましたが、反対に弁護士を通じて「慰謝料を早く払ってください」と連絡しておきました。
そして、私は友人とともにヨーロッパを満喫。とくにスペインで食べたパエリアが絶品でした。事情を知っていても普通に接してくれた友人には感謝しかありません。妹からの慰謝料が入ったら、今度は私が旅行に誘おうと思っています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。