激混みの店内。長い待ち時間
私は以前、あるサービスショップで働いていました。土日や祝日は混みあうのですが、その日は連休初日ということもあり、ひときわごった返していました。お客様の予想待ち時間は70分。そんななか、20代くらいのカップルが店を訪ねてきました。整理券をお渡しして待っていただくのですが、1時間を超える待ち時間だったので、「外出していただいても大丈夫ですよ」と案内しました。
ただ、2人は外出せず、店内の椅子に座って待つことにしたようでした。
事件が起きてしまった
結局2人をお呼びできたのは90分後。
「大変お待たせいたしました!」
と私が2人の元に駆け寄り声をかけると、彼女が立ち上がりました。すると、「あっ……」と、私にしか聞こえないくらい小さく声をあげたのです。よく見ると床にぽたっと血が垂れています。すばやく彼女の後ろへ回ってみるとおしりの部分に赤く広がるシミが。彼女は生理中で、座って待っていたことで経血漏れをしてしまったようでした。
幸い、周囲の方はまだ誰も気づいていないようだったので、動揺する彼女をトイレにそっと誘導して、あとでサッと掃除をして……と考えていると、背後から「大丈夫ですかッ!?」という女性の大きな声が聞こえました。
頼りがいのありそうな彼氏が…
私は最初、その声が経血漏れをしてしまった彼女に対してのものだと思い「気づかれてしまった!」と感じていました。しかし声をしたほうを見ると、先ほどの言葉は彼女の横に座っていた彼氏に向けられたものでした。なんと、彼は顔が真っ青になり、立てなくなってしまった様子。少し震えているようにも見えました。
私は、とりあえず彼女をトイレへ誘導し、さりげなく床の血にティッシュをかぶせ、具合の悪そうな彼氏のもとへ急ぎました。
「どうされましたか、大丈夫ですか?」
「すみません……自分、血がだめで……」
「えっ!」
どうやら、この彼氏は経血漏れをした彼女の姿を見て、動けなくなってしまったようなのです。私は他のスタッフと連携し、床をきれいに拭き取り、彼女のフォローをし、彼氏の体調が落ち着くまで寄り添って……と対応しました。その後2人をカウンターに通し、温かい紅茶を提供。彼女のほうは、着ていた上着を腰にまき「本当にすみません……」と申し訳なさそうな様子。一方の彼は、紅茶を飲んでも震えが止まらず、結局、彼女に付き添われるようにして帰られました。
お客様が経血漏れをし、それを見た男性が動けなくなってしまうという、まさかのトラブルに対応し、スタッフ間で「こういったトラブルもあるのだ」とひとつ学びにもなった出来事でした。
著者:oniko/女性・主婦
イラスト:すうみ
監修:助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!