義両親の結婚記念日の集まりに参加した私。お寿司の手配を担当した義妹は、「他人にお祝いのお寿司を食べる資格はない!」と言って、わざと私の分の注文だけをしないでいました。
そのせいでお祝いの空気は台無しに。結局、夫や義両親が気を遣ってお寿司を私に分けてくれました。夫と義両親から「くだらない嫌がらせをするな!」と大目玉を食らった義妹は、ようやく反省の色を見せたようですが……?
義妹が一方的に嫌がらせをしてくる理由
義両親の結婚記念日の翌日――。
「昨日は本当にごめんね」と、義妹のことについてまた私に謝ってきた夫。「大丈夫だよ。でも、結婚してそろそろ1年になるから、妹さんとも打ち解けたいなぁ……」と返すと、夫は少しほっとした表情になりました。
「結婚前は本当の姉妹のように仲良かったのにな、2人きりで出かけたりしてたし……」と言う夫。しかし、結婚した途端、義妹は私に冷たく当たるようになったのです。
「私、やっぱりなにか嫌われるようなことしちゃったのかな……」と不安がる私に、夫は「いや、君は何も悪くない!」と断言。
「昨日、両親が聞き出してくれたんだけどさ……一方的に君に嫉妬してるだけだった」
義妹は、兄である夫ともかなり年が離れた末娘です。家族みんなにかわいがられて育ってきたことは、私も知っていました。
「両親や俺を君に取られたみたいで、おもしろくないんだってさ」と言う夫に、私は「でも、それなら結婚前に仲良くしてくれた意味は……?」と質問をぶつけました。
ため息をつきながら、「それがくだらない理由でさ……嫁に来たら、両親が“嫁いびり”をすると思ってたらしいんだ」「両親がいびるなら、自分がわざわざ意地悪する必要はないと思って仲良くしてたんだって」「でも実際は、両親は君にはやさしいし、嫁姑問題もないし……それが気に入らなくて、一方的に嫌がらせをするようになったらしい」と答えてくれた夫。
私に非はないことがわかって安心しましたが、義妹と仲良くなれる日は、当分来そうにありません。
「……まぁ、昨日の説教で、妹もようやく自分のしてきたことの愚かさに気づいたみたいだ」と夫は言いました。
義妹は「ずっと意地を張ってただけで、本当は仲良くしたかった」「嫌がらせをやめるタイミングがわからなかっただけ」「心から反省してる」と義両親に言っていたそうです。
「今年の家族旅行は、あいつが全部手配するってさ。君へのお詫びも兼ねて、『みんなが楽しめる旅行にする』と言ってるらしい」と夫が教えてくれました。しかし、1年も嫌がらせをされてきた身としては信用できませんでした。
その気持ちは夫も同じだったようで、「まぁ、ぶっちゃけ怪しいよな」と言っていました。
しかし、「兄としては妹の改心を信じたい気持ちもあるし、疑ってばかりじゃダメだ」「事前に対策しておけば、妹の嫌がらせだって回避できるはず」「だから、俺たちは家族旅行に備えて万全の準備をしておこう!」という夫の意見を踏まえ、私たちは旅行の準備を進めました。
義妹の嫌がらせをものともしない万全の対策
ついに、家族旅行当日――。
「ごめんね! 私ったらうっかりして、お義姉さんの分だけ予約し忘れちゃった! スタッフに聞いたら、今日は近くのホテルも含めてどこも満室だって!」「でも家族旅行だから家族だけで楽しめばいいよね? 部屋もホテルのごはんも、家族の分しか頼んでないから!」と、山奥のホテルに着くなり、私に駆け寄って耳打ちしてきた義妹。
「うっかりじゃなくて、わざとでしょ?」「反省してるって信じてたのに……また同じような嫌がらせを繰り返すなんて残念だわ」と言うと、「これだけ嫌がらせされていて信じるほうが馬鹿なのよ!」「あんたが嫁に来るまでは一番私がかわいがられていたのに……邪魔でしかないあんたと仲良くするわけないし、家族だなんて絶対に認めないからね!」と義妹。
「あんたは家族じゃないんだから野宿でもしてなさいよw」
「ホテルの部屋は家族の分しか頼んでないの」
「わざとそうしてくれたのね!」
「は?」
私は義妹に笑顔で「そうだね、気をつけながら夜のキャンプを楽しむよ!」と言いました。「え……? キャンプ?」と、義妹はきょとん。
はなから義妹のことを信用していなかった私。こんなこともあろうかと思って、キャンプグッズを車に乗せてきていたのです。
「実はついこの間からキャンプにはまってて~、事前にこの近くに人気のキャンプ場があるのも確認済みなの!」「のどかで静かな山奥でのキャンプなんて、楽しいに決まってるじゃない!」「わざと私の部屋を取らないでくれて、ありがとうね」
私の言葉を聞いて、「な、なんなのよ! その用意周到さは! 反省してるって伝えてたのに! 義妹のことを一切信じてくれないなんてひどい!」と真っ赤になってまくしたてた義妹。
「さんざん嫌がらせをしてきて、まだ信じてもらえると思ってたの? それに反省しているふりをして、また同じことを繰り返すなんて本当にひどいよね……」と言うと、「そ、それは……」と義妹は言葉に詰まっていました。
私は「それじゃ、今夜の家族旅行は別々に楽しみましょう」「明日の昼ごろに合流しようね!」と再び義妹に笑いかけ、車でキャンプ場へ向かったのでした。
1時間後――。
私はすでにキャンプを満喫していました。その様子を写真や動画で送ると、「夕方から外でBBQなんてうらやましすぎる!」と言って、夫と義両親が受付を済ませてキャンプ場へやってきたのです。
夫婦で集めたキャンプグッズを物珍しそうに見つめる義両親の横で、夫はタッパーにたっぷり詰められたごはんを私に手渡してきました。
「ホテルのスタッフさんたちが事情を察してくれたみたいでさ……君の分をごはんに詰めてくれたんだ」「俺たちの分も用意してくれて、『ここは自然がいっぱいだから、お外で食べるのも楽しいと思いますよ』って送り出してくれたんだよね」
スタッフさんはキャンプ場内で星空を見るのに適した場所まで教えてくれたそうです。
夫は「女性一人でのキャンプは心配だし、ホテルもいいけど、俺もキャンプしたかったんだよね。せっかくだから俺も一緒にテントで泊まるよ」と言ってくれました。「両親はごはんを食べたあとにホテルに送っていく。それと、ホテルの温泉は日帰り入浴可だから、明日キャンプ場から撤収してから入りに行こうぜ」
夫と義両親、そしてホテルのスタッフさんに感謝しながら、私はホテルのごはんをいただくことに。そのあと、みんなで満天の星空を見ました。義妹とはいろいろあるけれど、私はここに嫁いでよかったなぁと幸せを噛み締めていました。
その後――。
今回のことで、義両親も夫も義妹にブチギレ。義両親はホテルに戻ってから、義妹とは一切口をきかなかったそう。翌朝合流したときに、夫は義妹に対して「俺もお前には我慢の限界だ。この旅行が終わったら二度とお前には会わないし、連絡も取らないからな」と宣言していました。
旅行後、義両親は「今すぐ荷物をまとめなさい」「よその大事な娘さんを傷つけるような人は、この家に置いておけない」と義妹を追い出しました。
義両親、そして夫からも、義妹のことについてあらためて謝罪された私。先日の旅行が後味が悪くなってしまったので、今度は私主導で義両親と夫をキャンプに連れて行こうと考えています。こんなにも私のことを大切にしてくれる義両親と夫に、少しでも恩返しができればうれしいです。
【取材時期:2025年3月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。